『隊長〜!雛森が明日、非番取るそうですよ!』
『‥‥‥‥』
約四時間にわたる“書類運び”から戻ってくるなり、己の副官はそう言った。
『‥‥松本。この状況で、俺に非番が取れると思うのか‥?』
山と積まれた書類。(言っとくが松本の机にも、だ)
思い切り睨み付けたが、松本はちっちっと指をふった。
『‥そこでですよ!雛森、明日手伝いに来てくれるんです!』
『‥はぁ!?』
雛森だって、最近は現世任務で忙しかったはず。(これも、会えなかった理由の一つである)
それが一段落し、やっと取れた非番にも関わらず仕事をする‥それも、他の隊の仕事を。
『‥松本!てめえ、雛森に無理させんじゃねぇよ!』
あいつは頼まれると断れない性格だ。大方、松本が無理矢理(サボるために)頼み込んだに違いない。
しかし。
『やだ、たいちょ〜♪雛森が心配なんでしょうけど、手伝いに来るって言い出したのは雛森なんですよ〜?』
『何?』
驚いた顔をすれば、松本が少し呆れたような顔でこちらを見た。(何で俺が松本に呆れられるんだよ!)
『隊長‥‥普段は散々、雛森に向かって鈍いだの鈍感だの言ってますけど‥、隊長も案外鈍いんじゃないんですかぁ?』
『あぁ?』
いきなりそんなことを言われても、意味わかんねえよ。
すると、松本が一言。
『っていうかこの場合、“女心が分かってない”ですかね?』
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