おかしい奴だと思う。で、面白い奴。‥だいたい一緒だな。
新学期が始まって、席替えがあって。俺は雛森とずいぶん席が離れた。前の方に見える小さい頭に目立つ団子を見ながらぼやっと考える。
ひらひらとなびくまとめ忘れのカーテン。その風は教室の中まで届いて団子をまとめる青色のリボンを揺らす。
それをなんとなく眺めるだけ。
『‥‥‥』
雛森がふいにこっちを向く。目があって、数秒間なんとなく見つめ合って、どちらからともなく目をそらす。
見えてはいるが何かからかうことができる距離ではないし、その為にわざわざ大声を張り上げることも近くまで移動することもしない。
(どうせ周りに無駄にからかわれて終わりだ。)
そんな風にしている内に、たいして喋らないまま一週間すぎてしまった。目だけは何度も合うけれど、話しに行くタイミングはない。
たまたま恋人と騒ぎ立てられてしまっただけで、ただの友人であるはずの雛森。
だけどこうにも喋らないとつまらないのだ。からかうと必死に言い返してくる雛森の姿が好きだ。妙に間違った方向に行動力があるところも見てて飽きない。
一応‥あくまで友人としてだけど。側にいないと何か物足りなくて。
‥雛森がからかわれて赤くなった時、不覚にも可愛いと思ってしまったのも本当だし。
(誰にも言ってねえけど。)
そういうごちゃごちゃしたことも全部置いといて、とにかく雛森と普通に会話したい。
これがここ最近、俺の脳内を占めていることだったりする。
ケンカしたわけでもないのに何となく喋りづらいこの状況は、きっかけ作りが問題だ。
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