『なあ‥それ、マフラーか?』
 
『そうだけど、他の何かに見える?』
 
『なんで巻いてんだ』
 
『なんとなく』
 
『‥‥‥』
 
『‥‥‥』
 
『‥‥お前は夏になんとなくでマフラーを巻くのか』
 
『どうだろうねえ』
 
『‥何か俺に隠してるよな?』
 
『んーん、そんなことないよ』
 
『‥そのマフラーの下、首はどうなってるんだ』
 
『‥見る?』
 
『‥見る』
 
『‥‥‥じゃあ』
 
『‥‥‥』
 
『ほら』
 
『‥‥何もねえんだけど』
 
『何かあった方が良かった?』
 
『いいわけねえだろ!けど‥ちょっと焦った』
 
『‥日番谷くん、何想像したの?』
 
『‥わかってて訊いてるのか?それともわかってなくてその質問か?』
 
『‥‥日番谷くんのえっち』
 
『な、わかってて言ったのかよ。‥ってことはどうせ松本の入れ知恵だろ?』
 
『違うよ?』
 
『嘘だろ、でなきゃ鈍感なお前が気づくか』
 
『あたしだって成長したんですー!』
 
『でももう、身長は雛森より俺の方が高いな』
 
『5pだけでしょ』
 
『改竄すんな、10pだ』
 
『もう‥だからこのマフラー持ってきたのに』
 
『は?』
 
 
ふいに日番谷の首に長い“それ”がかけられた。
 
 
ぐっ!と首を引っ張られ前方へ傾く身体。
 
 
 
ちゅ‥‥
 
 
 
そしてぱっ、と離された。
 
 
 
 
『‥え、今の、雛森、』
 
『えへへ、奪っちゃった』
 
『な、何を』
 
『日番谷くんのセカンドキス』
 
『‥っ、お前なあ』
 
『だって日番谷くん、まだ一回しかしてくれたことないじゃない‥あ、あたしだって、ほんとは』
 
『‥もっとキスしたい?』
 
『や、やぁ‥!先に言われると恥ずかしいよ!』
 
『あんな大胆なことしといて、今更だな』
 
『だ、だって‥‥ん、』
 
『‥‥』
 
『‥んん、』

『‥‥‥‥』

『ふ、‥‥ん、ひつ、んん』

『‥‥‥‥‥‥』

『ん、んんーっ!』

『‥はぁっ‥どうだ、お望み通りだろ』

『ぷはぁっ!!‥ちょ、はぁ、日番谷くん、長すぎだよ!』

『‥こんだけ俺は我慢してんだよ。わかったか、バカ雛森』

『う‥‥』

『奪われっぱなしも男としての面子立たねえし』

『‥あう、日番谷くん、』

『もう我慢しなくていいみたいだし』

『な、長すぎるのは‥そのー‥』

『いいよな、雛森』


にっこりと日番谷が笑った。


『ふ、ふわぁぁあ!!』

 
 




日番谷さんヘタレ脱却の道へ。

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