『日番谷くん、あたしのこと好き?』
 
一言。ふ、とあたしの頭の中で溢れた言葉は、喉でつかえもせずにするりと口から出てきた。
 
いきなり何言ってるんだよ、なんて焦る貴方は本当に可愛いと思う。
ポーカーフェイス、本当は苦手なんじゃないのかな。だっていつも顔に出てるもの。隠しきれてないのにね。
 
‥でもきっと。その染まった頬も困ったような瞳も愛しげな表情も全部。
あたしだけの。
あたしだけに向けたもの。
 
この満足感と仄かな優越感で頬を緩めるあたしは、なんて虚しいのか。
 
 
本当は不安でたまらない。貴方があたしを好きか、じゃない。
 
あたし‥“雛森桃”が、
“日番谷くん”を愛せているか。
 
好きだ、と言ってくれた貴方を愛しいと思った。それは紛れもない事実。
でも、日番谷くん‥貴方があたしを愛してくれたから、あたしは貴方を愛そうと思ったの。
 
怖い。怖いよ。
あたしが好きなのは“日番谷くん”ですか?
‥“あたしを好きな日番谷くん”ですか?
 
 
 
 
あたしはいつの間にか全部口に出してしまっていて、貴方はそれでも笑ってくれた。
 
“日番谷冬獅郎”と“雛森桃を愛する日番谷冬獅郎”は全く同じなんだって。これから先も変わることはないんだって。
 
その言葉にやっぱり愛しさを覚えて。
それでも思わず胸を押さえた。
 
 
 
 
痛い。痛い。
 
貴方があたしを見つめるたび。
 
 
貴方を愛しく思うたび。
 
 
() 
 
←main

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -