宇宙の夢 名前変換 これは夢だってわかる夢のことを明晰夢というらしい。ということはこれは明晰夢というやつだ。 黒い中に白とか赤っぽいのとかが浮かんでて、なんだろうこれと最初は思ったけど、行っても行っても近づかないからちょっと見回してみたら、写真なんかで見かける青が目に入った。 「…地球?」 その辺りを見れば月らしきものも。なんともスケールの大きい夢だなぁ。息できるとか好きに動けるとかさすが夢!ご都合主義!イベント起こらなそうだけどこれいつ起きるんだろ。…とりあえずうろちょろしてみよっと。泳ぐみたいにするべきか迷って、歩けそうだからやめた。足元は何もあたってないのに進むから不思議。 「だーれーかーいーまーせーんーかー!」 だだっ広い空間で叫んでも誰かに届くわけじゃ…あれ?見間違いだと思って目をこすって、もういっかい見る。やっぱり見える! 「カーズ!おーい!」 走って、名前呼んで、走って。全然近づかないし、反応もしてくれないし、視界がぼやけてきた。意味があるのかわかんないけど、思いっきり手を伸ばす。バランス崩して転がると、そのまま気持ち悪いくらいぐるぐるして、目が覚めた。 「…カーズ?」 布団から抜け出していつも寝ているところを覗くけど、姿が見えない。またぼやけてきた視界に、ちらっと動く影。目元をぬぐって、影が見えた狭いベランダへ向かうと、猫のような目をしてカーズが月をみてた。 「どうしたのだ椿」 黙って隣に座る。布団からそのまま来たせいで少し肌寒い。月明かりも、さっきの夢のせいでちょっと冷たくて怖い。 「カーズは、月まで行きたいって思う?」 「月まで、か。あまり行きたくはないな」 「どして?」 向けた視線をかわすようにそらした横顔に、暗くてはっきりしないけど苦笑いが見えた。 「地球は私のものだからな。離れるわけにはいかないのだ」 「そだねー」 「そうだ」 「…手、つないでい?」 ちゃんといるんだって確かめたくてそう言うと、寂しそうな顔をボクがしていたからか、答えずに抱きしめてきた。色々と気になることはあるけど、今いてくれるんならいいや。安心したらあくびが出た。 JOJO TOPへ/小説TOPへ |