ゆっくりと

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例年降っていた催涙雨も、今年はなんとか降らずにすむようで、ぼんやりとではあるが星も見える。
「織姫様も、今年は彦星様に会えそうだね」
「夏葵もそのようなことを言うのだな」
「素敵じゃない?なんか。1年間、ひたすらこの日を待ってるんだよ」
秀吉が意外そうに言ってきたので、少し照れながらもそう答える。私だって、らしくないなって思うけど、そういうのは子供の頃から変わらず好きなのだ。小さい時に読んだ絵本とか、たまに見返したくなったりするくらい。
「星の寿命的には、人間の1年なんて3秒位だって言いません?めっちゃ会ってるじゃないすか」
「そんなのロマンが無いじゃん!」
こういう話に現実味とかきちんとした考察とか入れはじめたら、一気に魅力が消えちゃうじゃない。
まぁ、言いつつも嬉しそうに空を見上げてるから、からかい半分なんだろうなとは思うけど。
「夏葵君も、やっぱり女の子なんだね。なんだか可愛いなぁ」
「われは星が見られれば日は問わぬ」
「なんか、和むっすね」
「たまにはこのような時間も悪くないものだな」
「私なんか、そんなに微笑ましく見るほどじゃないよ、半兵衛」
「秀吉様が満足そうにしていらっしゃる…!周囲の電灯を消して回ったかいがあった」
わざわざこのために消してもらいに回ったのかと、一生懸命さが可愛らしくて口角が緩んだ。さすがというかなんというか。秀吉信者は思考回路が一般とだいぶ違うんだと思ってるけど、近所の人の理解があって何よりだ。
「消してくれた家には、後できちんとお礼をするんだよ?」
途端に表情が苦々しくなる三成。あとで一緒に行ってあげよう。どうせ私がしゃべって三成は頭下げるだけになるだろうけど。あと、不器用ながらも星を見るために頑張ってくれた三成にも、何かしてあげないと。なんだかんだここんちの住民は甘やかさないと拗ねるからなぁ。


季節はずれにも程がある?忘れてたんですあげるの(本日10/5)。イベント事逃しまくってる気がします。

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テーマ「人外ファンタジー」
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