吹雪と左近と雪だるま

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目が覚めていつも通り自分の部屋の窓を開けたら、一面雪景色で真っ白、どころか吹雪いてて景色が見えませんでした。
「ここまでひどいと流石にはしゃぐどころじゃないわ……寒い」
まあ、少しならはしゃぐかと言われると、やはりこたつにもぐって絵でも描いている方が好きだけど。
でも、いくら寒くても、外から普段聞かないような風の音が聞こえてこようとも、お腹はすくものでして。自分だけならまだしもここのうちの食事を任されている身としては起き出さないわけにはいくまい。あぁ、愛しのこたつ……。
とんとんと階段を降りて、手抜きをしつつもきちんと見える限界を考えながら台所へ向かっていると後ろから少し慣れてきてしまった抱きつきが襲ってきた。
「左近!よろけるからやめてって言ってるでしょう!?」
「そんなことより、雪っすよ雪!!」
自分の身長よりもだいぶ高い人が後ろから突進してくるのは随分と怖いんだけどなぁ……。そんなこと、かぁ……。
「雪っていうか、前見えないくらいの吹雪じゃない」
「超外出たいんすけど朝飯まだすか?」
「……本気?」
「え?」
もう一度窓の外を見てみて、ついでに隣の左近にも見せる。どうして確認するんすか?って笑顔できかれたんだけど本気で言ってるのか、この子の思考回路異常だ。
「この中出ていったら確実に風邪ひくし、ひどいと凍死しちゃうからやめなさい」
「えー」
異常思考くんはほっとこう、と歩き出しても後ろから「だって雪っすよ?珍しいじゃないですかこんなになるのちょっと出てくるだけっすから、ね?ね?」とお預けをといてほしい犬みたいにきらきらと訴える目でついてくる。三成の愛犬は本当にわんこ系男子ねー。
「何回言ってもこんな中外には出しません!」
「えー!!」
「吹雪がやんだら、秀吉でも半兵衛でも三成でも吉継……は、ちょっとやめた方がいいかもしれないけど。とにかく誰でも付き合わせてあげるから!とりあえず今は我慢しなさい!」
「夏葵は?」
なんでここで私の名前が出てくるの?確実に男子勢で遊んだ方が楽しいじゃない。私はこたつでゆっくりしてたい!
「…雪だるままでなら、私も付き合ってあげるから」
頼まれごとにはめっぽう弱いの知っててそういう目するんだから、もう。私が折れたあとに見せるにこっとした笑顔にはまだまだ振り回されてしまうらしい、と窓に張り付くように外を見る左近を見ながら思った。

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