その1 「きっこえたーらーうなずいーて、おへんじーくーださいー!」 上機嫌で体を揺らすカーズが、スマートフォンから大音量で曲をかけながら歌っている。 夕飯争奪戦も終わって3ニートがそれぞれ散り、吉良が皿洗い等家事をし、彰堵が風呂に入っている。ディエゴ・プッチ・ファニー・冬芽・夏葵は未帰宅。椿は食べた後どこかへ出かけたようだ。基本的に、吉良以外の(比較的)常識人たちは争奪戦後にばらばらと帰ってくる。そうでないと自分の分が危ういのを知っているので。 「カーズ!お前のせいだぞ!!」 普段なら夕飯闘争が一番激しいのだが、今日はまだ終わらないらしい。 「せっかく今日の日替わり楽曲、告白日和をやっていたというのに、お前の騒音のせいでスコアランクAを逃したではないか!!」 「フルコンならまだしも、Aランならもう一度やれリズム音痴。それと騒音ではなく『恋のシグナルRin Rin Rin』だ!」 両耳イヤホンの片方を外しながらDIOが抗議しても、そう言って悪びれもせず2回目を流し出すカーズ。DIOは苛立ちながらももう一度やろうとして、LPが足りないらしく指に力を込めた。 「大体、凛よりことりのほうが数倍…いや、比べる気も起きないくらいかわいい」 「聞き捨てならんな!!」 ばっと向き直りカーズが叫ぶので耳をふさぐ。台所の方から吉良の舌打ちが聞こえた気がした。 「『にゃ』などという安易な取って付けたような語尾のやつよりも、何も無いからといってメイドのバイトをし始めることりのような一生懸命さのほうが愛しいではないか」 「語尾だけで判断するとは尚早な…!凛はサイレントでも小動物のようで可愛いぞ!!」 DIOの発言で推しメン戦争が勃発。吉良のため息が聞こえた気がした。キャラクターも対照的なので終わりが見えない。 「それを言うならことりもサイレントで十分かわいい!よく見るミニスカートよりもロングスカートが好きだ」 「衣装で言うなら凛にもショートパンツという武器がだな。ちょこちょこ動きまわるのがたまらん!」 「動きまわるだけがかわいさではない!ふとした仕草まで見てこその… 「一番はかよちんに決まっているだろう!!」 押し入れを壊さんばかりに開けながらディアボロが参戦。外の2人だけでなく隣のドッピオもかなり驚いたようだ。手にはそれぞれ横向きにスマホを装備。 荒木荘ラブライブ!へ/JOJOTOPへ/小説TOPへ |