白黒 『誕生日おめでとう』 毎年この一文だけ送られてくる。私が同じように黒文字のみで「ありがとう」って送って、それでおしまい。 そんなにあっさりしてるのに、毎年一番早く届くんだよね、これ。友達とか宮村とか、日付変わる瞬間に送る人は他にもいるけど、決まってるかのようにこれが最初。携帯持ち始めた頃からずっと。だから私も、まずあいつに返信してる。 当たり前のように機械的に、短くて白黒のメールを送る。それが私の誕生日の一番最初の作業。それがないと落ち着いて次のことできないかもしれない。来なかったこと無いからわかんないんだけど。 「あんたは来年もこうして、私のところに届いてくれるの?」 『誕生日おめでとう』の無機質な画面を見つめてそう呟く。 …それから、すっと宮村のメールに移ると、色が多くて目がちかちかした。白黒に愛着が湧いていたのかな、と思った。 ギリギリセーフの堀誕。 堀宮TOPへ/小説TOPへ |