どうしたらいいの

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三部でDIOが消えるところの話。珍しく原作沿いです。

どんどん人が減っていく館の中で、何も出来ないもどかしさを感じながらも夜だけを楽しみにしてた。夜になったらDIOが来てくれる。他の誰が居なくなってもDIOだけは来ると思ってたし、負けるところも想像つかなかった。
でも、いつもよりずっと大きく館が揺れて、壊れるんじゃないかと思うほど戦闘の音が聞こえてきた日、夜になってもDIOが来なかった。大変なんだなと思ってしばらく待っても、一向に来る気配もない。ボクはだめだと言われていたけれど部屋から抜け出した。
なんの物音もしない廊下を顔をしかめて早足で歩いていく。月明かりと直感だけが頼り。館の中はまだしも、外に出てからはどっちに行っていいか全く分からないままとにかく歩いた。ボクは分からなくてもDIOはボクの居場所を見つけられるみたいだから、途中でまた拾われて怒られたい。どうして館から出たんだ、早く帰るぞって。早くDIOに会いたい。
そんなことを思いながらも、DIOのところにたどり着いたのは直感が冴え渡ったおかげ。でも、見慣れた後ろ姿を見つけて駆け寄ろうとしたときには、もうすでに勝敗は決まっていたみたい。倒れていただけじゃまだ負けてないと思えたのに、非情にも夜が明ける。
目の前で灰になるのを見届けても、敵が去ってしまうまで立ちすくんで動けなかった。震える体をやっと引きずって行ったものの、灰の中にどさっと埋もれてしまう。死んでしまったのが恨めしくて、灰になれない自分も嫌で、涙があふれてきた。倒れ込んだときにすりむいたのか、拭おうとした手のひらにうっすら血がにじんでいて、ぼんやりとそれを見つめた。
「…DIOの血で吸血鬼になれるんだっけ」
じゃあもしかして、灰でもなれるんじゃないか。
起き上がって、少し口に含んでみる。まちがって砂とか食べたときみたいにザラザラした感触。ごくんと飲み込んで、太陽を見上げて、あーあ、灰にならない。さっきより多く手ですくって、一気に口へ。苦手な味が広がるし喉もちくちくするけど、切ない気持ちはその分消えてくれる気がする。する、けど。
「…やっぱ、生きてるうちじゃなきゃだめなんだね」
3回くらい繰り返してみて、ボクの血と混ぜてみたりもして、でも太陽の光がいつまでも優しい。優しくなんかなくてもいいのに。今のボクにとっては、優しい光より冷たい死がほしいのに。
自分で死ぬのはどうしても怖くて、まだ生きてなくちゃいけないと思ったら泣くの我慢できなくなった。涙、嫌いなんだよね。どうしたって泣くんじゃないって、前に言われたもん。でも、言ってたDIOがいないんだから、泣いたって怒られないね。
「……言われたこと、破ってるよ。悔しいでしょ、ほら、叱りにきてよ、ねぇ。…大声で「椿!!」って、ねぇ、お願いだからさぁ!」
久しぶりに出てきた夜明けの街で、人目も気にせずに大泣きした。ほんと、恨めしいくらいに太陽が空で光ってた。
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