早起きは三文の得

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「ハッピーバースディ椿!!」
「進藤今何時だと思ってんの…」
午前5時。もちろん普段は寝ている時間だ。まだあたりも薄暗いし、人もあまり通ってない。そんな時間。
「今日平日だから学校あるけど、どうしても1番に直接言いたくて!」
「起きてなかったらどうすんの…」
「メールしたじゃん?」
「直前にね」
今から行くから!ときりっとした顔文字付きで送られてきたのが15分ほど前で、進藤の家からここまで15分だから、たぶん家出る直前。せめて前から言っとこう…?
「起きてくれてよかった」
髪色が明るいせいか、にこにこした進藤の周りだけ部屋が明るい気までする。来るって言ってたら部屋だって片付けといたのにこいつは。
「てか、朝弱いの知っててやってる?起きてなかったらどうするつもりだったの?寒い中待ってるの?」
昨日思いついてそのまま来たとか突然すぎて親が朝飯作ってくれなかったとか言ってるのを遮って聞いてみた。そしたら少し寂しそうにして
「俺が来るのに起きてくれないの?」
「……起きる、けど」
「ほらな」
そのくせ答えを聞くと一転してにやけ顔に変わる。読まれてるようで悔しくて、抱えてたぬいぐるみを投げつけた。ふわっと受け止めてそれの頭をなではじめる進藤。
「椿が乱暴でお前も大変だなぁ」
「…こーいち」
「ん?おいで?」
「行かないし!返してって言おうとしただけ」
「つれない事言うなよー」
明るいオレンジが突撃してきて、あっさり捕まってしまった。手だけ冷たくてびくっとして笑われる、いつもの流れ。
「また1年よろしく」
「大事にするよ」
抱きついたままそう言われたら、起こされて不機嫌だったのもどこかへ飛んでいった。顔が熱いのはたぶん差し込み始めた朝日のせい。

作者の誕生日に書いたもの。セルフ誕生日話。
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