密やかな捕食者

※れっくすさん宅ミツハニー♂/密(ヒソカ)と自宅コイル♂★/ジジ

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「ジジ君、ご免なんだけど…」




バスタオルを忘れちゃって、と、密の情けない声が浴室で反響したのはつい先程の事だ。


買って貰った新しい歯ブラシを観察していたジジは、のそりと腰を上げた。ぺたぺたと幼子のような足音を立て、以前教えて貰った収納場所から目的の物を取り出し、脱衣場へ向かう。



密は今丁度シャワーを浴びているらしかった。ザアザアとした水音の中でも気配は察知出来たらしい、律儀にお礼が返ってきた。

着替えの上にきちんと畳んだそれを起き、さて歯ブラシで何をしようかと(本来の用途は歯を磨くのみである)脱衣場から出かけた時、ふとジジの目についたものがあった。


洗濯カゴの山の一番上に鎮座するそれは、恐らく、いや間違いなく持ち主が一番最後に脱いだと思われるそれだ。

ジジは暫く無表情でそれを見つめた後、余り躊躇うこと無く手に取った。


不思議そうに首を傾げ、鼻を寄せる。



「…ん」


ふわ、と蕩けるような甘美な匂いがした。

密の物。密の身体を包む薄い生地。


腰に甘い痺れが走った気がした。
そっと右手を下に下ろして、思わず目を細める。自分の下着を押し上げるコレは何だろう。
何度か触って、密の下着に鼻を埋める。


足りない、


「…気持ちく、無い…」



眉を下げていると、ドア一枚隔てた向こう側で、浴槽に浸かった密が至福、というように大きく息を吐いた。
同時に下着を元通り、きちんと洗濯カゴの一番上に乗せる。

ジジはふむ、と頷いた。

きっと本物は、これよりもっと甘美に違いない。

興味津々、とスイッチが入ったように瞳を輝かせ、ジジは全く躊躇うこと無く、扉を開いた。


「え?ジジ君?」

どうかした?と傾げられた首筋をお湯が流れていく。艶やかさにほう、とジジは息を吐いた。

「密、密の事考えたらこうなった」
「何、が…」

普段と変わり無く淡々と告げられた言葉に、普段と変わり無く穏やかに問い返した所で、密の視線がジジの下半身に辿り着いた。

途端、お湯のせいもあって火照っていた頬が違う熱に染まる。

狼狽えを表すように、浴槽のお湯がちゃぷりと揺れた。



「え、あの、じ、ジジ君、どういう、」


いきなり恥ずかしくなり、露な上半身を隠そうとする密の横に立ち、ジジは呟いた。


「密に色々触ったら色々分かると思うんだけど」
「い、い色々って、ジジ君」
「…だめ?」

ことりと傾けられた顔は微かに眉が下げられていて、う、と密は息を詰まらせた。

じゃあ、嫌?という、徐々に逃げ場が無くなる質問に、横に首を振った。


「ありがと」


ジジはぱっと表情に花を咲かせ、唇に妖艶な笑みを浮かべた。



「密の色んなとこ、見して?」



それは本人でさえ無意識の顔で、これから散々観察対象となる密は、思わず見つめ返してしまったのだった。




密やかな捕食者

そして素晴らしい笑顔のジジの右手には昼間買い与えた歯ブラシがしっかりと握られており、密はヒクリと頬を引き攣らせた。




二人の始まり的なナニか←
2013.3.29


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