甘やかす件について話そう



「つまりだ!トミーは荒北に甘すぎるのだよ」
「…そんなことは無いと思うが」
「いいや、寿一は甘いと思うぜ?こと靖友においては」

何故このような事になったのかと福富は首を傾げたい気持ちで一杯だった。

「もちろん荒北もトミーを贔屓しているしな」
「そう…だろうか」
「だろうかじゃなくて、贔屓も贔屓だろ!」

ただ昼食を一緒にとっていた、それだけのはずなのだが。
荒北がちょっと茶ーとってくるわ、と席を外した途端になぜかこうなったのだ。
向かい側に座っていた東堂と新開がスプーン片手に、いかに福富が荒北に甘く、荒北が福富に甘いかを熱弁している。

福富としては荒北を特別甘やかしているつもりはないのだが、端から見れば相当なもんだ!というのが東堂らの言い分だ。
自分たちの一等近い場所にいる彼らが言うのだから、おそらく間違ってはないのだろうと福富は思う。

「…そうかもしれんが…」
「ふむ…やっと認めたな!」
「まああれだ、相思相愛だもんな寿一?」

東堂と新開がにやにや笑っている所を見ると、どうやら福富にそうだと言わせたかったらしいことが分かる。

「あれだけ甘やかしてるの見せ付けられてそれで普通みたいな顔されたらな」
「本当だぞ!羨ましいことこの上ない!」
「な…っ、お前達…!」

口下手故に言い返すこともままならない。
福富にしてみれば言いがかりだ、と言いたい所だが、あながちそうとも言い切れない。
かといって肯定するのも気が引ける。
どうしたものかと赤面した顔で福富が口をあけた時だった。

「福ちゃんになーにしてんだボケナス共」

盆に4人分の麦茶を確保した荒北が戻ってきた。
空いた手で肩を掴まれた東堂は「いたいぞ荒北!」と抗議している。

「おめーら何福ちゃん困らせてんだヨ」
「…ほら見ろ寿一!」
「………」

この状況ではまったく否定できない。
福富はため息を1つ吐いて、荒北から麦茶を受け取った。

「え、何で福ちゃんそんな疲れてんの?」
「どちらかと言うと疲れさせたのは今の荒北の行動だと思うぞ、俺は」
「ふざけんな!」

ギャーギャーと騒ぐ東堂と荒北を見ながら、福富はもういっそ堂々と甘やかしておけばいいんじゃなかろうかと考え始めていた。



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ゴミ箱から発掘してきました、が…超絶尻切れトンボ。
荒北さん3位おめでとうって事で書いた(らしい)のに、全然甘やかされてないどういうことなの。どっちかっていうと福ちゃんのことばっかじゃないか。
アニメ化記念ということで載せときます。

12.03.23→12.12.28



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