ただそれだけの



※やや病み鬼道さん


消えてしまいたくなった。
この世界に自分が存在する理由も、意味も、価値も、何もかも分からない。
そもそも自分は今生きているのだろうか。
脈打つ首筋も、生温かい体温も、吐き出される吐息も、すべて幻で。
自分は、何なんだ。気持ち悪い。気持ち悪い。得体の知れない自分が。
怖い、嫌だ、どうしたらいい。どうすれば逃れられる。どうすれば。
くだらない、分かってる、でも、考えずにはいられない。
嫌だ、いやだ、こんな自分が。消えてしまえばいいのに。


ベッドの上で座り込んだまま、思考は堂々巡りを繰り返す。
馬鹿馬鹿しい、くだらないことだ。
だけど…ひどく気分が落ち込んで、どうしようもない。
本当に自分が消えたほうがいいんじゃないか、と思う。
こんな自分……おかしい。


部屋の窓を開けた。
ここから飛び降りたら、この世界から居なくなれるだろうか。
薬の瓶を開けた。
この瓶の中身を飲み干したら、この世界から消えられるだろうか。
自分の首にネクタイをかけた。
このまま絞め続けたら、こんな自分を壊せるだろうか。

どうしたら…いいんだ・・・・・・


ベッドの上の携帯が震え、オレンジにチカチカと光った。
あたたかそうなオレンジの光に、吸い寄せられるように携帯を手にして、通話ボタンを押した。



「………えん、どう…」


円堂は、夢の中で俺が泣いていたと言った。
夢だったけど放っておけなくて、と続いた言葉になぜか涙がこぼれた。


「じゃあ、また明日な」


そう言って電話が切れる。
ぐちゃぐちゃだった気持ちが、すっとした。


−−−

突然訪れる空虚感、あれ半端ない。すごい鬱っぽくなる。
ということで、鬼道さんで書かせていただきました。
円鬼なような、円←鬼なような…。

thx!:馬鹿の生まれ変わり

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