望むのは、貴方の自由



「鬼道クン」
「何だ」
宿舎の俺の部屋で2人きり。
といっても、フォーメーションについて話し合ってるだけだけど。
「あのさ」
一応俺と鬼道は恋人同士だ。
距離は格段に近づいたし、俺は鬼道が好きだ。
だけど、その中で、気づいたことがあった。
「何でお前、目ーそらすんだよ?」
最近妙に目が合わない。
合うと自然にそらされる。
嫌われているのかと思えば、こうしてわざわざ部屋にくる。
「別に、そんなことはない」
ほら、また。
何なんだ一体。
ずい、と鬼道の顔を覗き込む。
ゴーグルの奥の赤い目が丸くなる。
「俺はお前が何考えてんのか分かんねー」
言わなきゃ分からないだろうが、と思いながらそう言い、ふいと鬼道に背を向けた。


しばらく無言の空気が流れる。
「俺、は」
鬼道が口を開いた。
「怖かったんだ、お前が居なくなることが…」
は?
鬼道の話が何処へ行こうとしているのか分からない。
「どういう意味だよ?」
鬼道の方を見ると、鬼道は俯いたまま続けた。
「両親も、総帥も、…求めたらいなくなってしまったから」
震えながら紡がれていく言葉。
「だから不動も、求めたら消えてしまうんじゃないかと…思って、だけど、俺は不動が好きでっ…我慢できなくなるから」
小さく嗚咽が混ざった所で、思わず鬼道を抱き寄せた。
「ばっかじゃねーの、お前」
肩口で息を飲む音がした。
「お前の今までがどうだろうが俺には関係ねーだろ。俺は鬼道クンが好きだから傍にいる、それだけだ」
我慢しなくたっていい。
俺が欲しいなら求めればいい。
だから。
「逃げんな鬼道」
俺の背中に手が回されるまで、あと少し。


―――

thx!:あめあめてんし。

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