なんだ、そんなことか



久しぶりにかかってきた電話に、鬼道が常よりも些か明るい声で出たのはおかしいことではなかった。

電話の内容は雷門中の監督になったという報告だった。
お前はサッカーのこと以外で電話をしてきた試しがないなと相変わらずの円堂に告げながら、雷門中サッカー部はどうなのかと尋ねた。
もちろん、サッカーがあの頃のように特訓だ真剣勝負だと言えるようなものでないことは百も承知だが、聞かずにはいられなかったのだ。

「ああ、なんかすっげーサッカー好きな奴がいた!」
「お前のようなサッカー馬鹿というわけだな」

思わず小さく笑い声を漏らした鬼道にサッカーは好きだが馬鹿というなと反論した円堂は、思い出したように言う。

「天馬が俺みたいなら、今の雷門のキャプテンは鬼道みたいな奴だよ」

キャプテンで天才ゲームメーカー。
そんな奴珍しくもないだろう、と言えば円堂はうーんと唸る。

「まぁそうなんだけどさ、なんか鬼道に似てるんだ」

何処がって言われても、わかんないけど。
ははは、と笑って言う円堂に何だそれはと返す。

「なーんかあいつ、難しいこと考えてるみたいなんだよなー。サッカー楽しくないみたいだ」

円堂の言葉に、鬼道はそういう事なら問題ないだろうと答えた。

「お前が監督になったんだ、その問題は解決できるさ」

その選手が俺に似ているというのなら、円堂守のサッカーを見て黙っていられるわけがない。
一時サッカーに疑問を持った自分を掬い上げた円堂のサッカー。
円堂なら、またサッカーを楽しいものにしてくれるはずだ、なんて。
サッカーから離れた俺が言えたものではないが、と鬼道は思う。

「それに、お前に似ているという選手がいるのなら、大丈夫だ」

そう言った鬼道に円堂はサンキューな、と返し、また試合を見に来いよと誘った。
その誘いに鬼道が行くと言ってしまったのは仕方のないことだった。



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キャプテン監督就任祝い←
鬼道さんとの妄想をせずにはいられなかった。
あくまでも円+鬼です。
アニメで鬼道さんが出てくる前なので色々捏造。

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