匿名希望さん

うっわアイスケーキ、オレ食うのはじめてっす!
そんな事を言いながら愛らしいケーキにスプーンを突き立てる高尾は、恋人だという多少の贔屓目で見ても、残念なメイドさんだ。

…学校祭。
もはや女装男子なんぞ珍しくも無い、それが許されてしまう魔の行事。
それの餌食になるのは大抵見るからに愛らしい華奢なきゅるるん系男子か、逆に最早ネタにしかならない全く似合うわけも無いゴツゴツしたヤローかのどちらかなわけだ。
どちらかといえば後者なはずの高尾は、どうやらクラスの出し物でその外れ籤を引き当てたらしい。
メイド服とレースのついたニーハイから見えるいわゆる絶対領域と、明らかにギリギリな感のある肩幅に、自由時間中に高尾と会わなかった宮地が爆笑したのは、バスケ部の屋外ブースを片付けるべく高尾が走ってきたつい先ほどのことだった。

早く着替えたいだの何だのと喧しい高尾に、自由時間に何の因果か手に入ってしまったケーキを分け与え、そんだけしかねぇからとっとと食っちまえと言いながら、宮地は密かに舌打ちをしたくなっていた。

…うそだろオイ。
練習だ学校祭だと、何だかんだご無沙汰だったのは認める。認めるが、相手が恋人であるとは言え後輩の、しかもはっきり言って似合いもしない女装に色気(と言っていいのかも怪しい何か)を感じて反応してしまっている自身に頭を抱えたい気分だ。
平常心、ここは学校、相手は後輩、女装はしてるが似合ってない。
ただひたすら呪文のごとく繰り返しながら目を逸らしていると、高尾が行儀悪くもスプーンをくわえながら宮地の顔を見上げてきた。

「冷てぇ〜、うまいすねコレ」
「ああ、おう」
「どーかしたんすか?」
「なんっもねぇよ、ちゃっちゃと食って……」

勢いよく立ち上がって、ここのブース片付けんぞ、と続けようとした宮地は「あ」とも「げ」とも取れるような妙な声を上げて硬直した。
床に落ちたスプーンがからんと音を立てる。

「どしたんすか宮地サン、跳ねちゃったじゃないすか、も〜」

宮地が立ち上がった勢いで、高尾のスプーンを引っかけたらしい。口元で溶けたアイスクリームは、高尾の顔に飛び散っている。
指でそのあたりをこすると、高尾はペロリとそのクリームを舐め取って笑った。

「ほんっと、変すよ宮地サっ、うぇッ!?」
「お前まじ…狙ってやってんなら犯す」
「ちょっちょ、ちょっと、どっ、なっ…」

いきなり宮地に机へ押さえつけられた高尾は目を白黒させながら声を上げる。

「なんっ、ここ学校すよ、って…ん、ひぇッ」
「色気ねー声出すなっての」

スカート部分を捲り上げた宮地の手はすぐさま高尾の下着を引きずり下ろす。
ぐいっと開かれた奥に、皿の上から強奪したクリームを塗りつけられて高尾は冷たさに声をあげる。

「ひゃっ、んぐ…つ、めたっ、いスよ…みゃーじサン…」
「黙ってろ」
「ったってマジで冷たいんすよ、ァ…っく」

半ば強引に押し入れられたはずの指は、クリームのおかげか、くちゅくちゅと音を立てる。

「だっ、て…に、似合わねっ、似合わねえって、ン…爆笑してたじゃないすかぁ、っ」
「そりゃ似合っちゃいねえけど、…そそったんだよオレだって信じらんねぇけど、なっ」
「あ、ッあっ…ふ、ン…」

しばらく高尾の中をぐりぐりと掻き回し、いいところを擦っていた指を引き抜くと、宮地はその指をベロリと舐めた。

「…やっぱ、アイス使ってっと、ハァ、甘いもんだな…」
「もっ、いーからっ…ぁ、はやく」
「わかって、るっつの…!」

久しぶりに中に入れた熱は熱くて、宮地と高尾は性急に求め合った。




「…宮地、1人か?高尾はどうした、割り振りは2人のはずだっただろう」
「あいつは〜、便所。アイスケーキ1人で食ってたかんな、腹でも壊してんじゃねーの」
「腹ァ?」
「オレ行くから、お前ら先帰っていいぜ。どーせ体育館使えねーんだし」

かくして、宮地は続きはシャワー室でという宣言通り、後処理をしている高尾の元へと廊下を歩いていく。


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匿名希望さんリクエスト「メイド服&アイスケーキプレイ緑高/宮高」です。
迷った末に宮高で書かせていただきました。
都合合わせに学祭後の学校Hというマニアック風味になりましたが、アイスケーキプレイ、こんな感じでよろしかったでしょうか?
あまり物騒な発言を盛り込めなかったので宮地さんらしさが減ってしまったのですが、楽しんでいただければ幸いです。
大変お待たせ致しました。この度はリクエストありがとうございました。

13.02.24 こよし

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