めえこさん

ぶるぶる震える身体。
彷徨って落ち着かない瞳。
極めつけは緑間のシャツを握り締めて離そうとしない手だ。
「たか」
「ひっ……う、」
光った窓の外に大仰な程に体を竦ませる姿に、これは本当に高尾なのかとすら思った。
高尾がこれ程怖がる姿を、緑間は見たことがなかった。
「高尾少し落ち着くのだよ」
「無理、だっ…!」
なんとか宥めようとその体を抱き込もうとすれば、高尾の方からぎゅうぎゅうと緑間にしがみついてきて胸に顔を埋める。
力を込めすぎて白くなった手は絶え間なく震えていた。
「ひ、…っうく…」
高尾の口からは泣いているかのような声が漏れ、緑間は心配と同時にずくりと体の芯が疼くのを感じた。
恐怖心から高鳴っている心音や震えた息。
高尾は怖がっているだけだと言い聞かせてみたものの、一度気づいてしまえばそうとしか思えなくなってしまうのだ。
「し、ん…ッなに…」
唐突に体を引き剥がされて高尾は恐怖に戦慄きながら緑間の顔を見上げた。
「大丈夫だ」
「なんっ…ん、……っ」
唇を塞がれて高尾は驚いたのか体を硬直させた。
緑間の舌はうっすら開いた唇の隙間から入り込むと、口の中で執拗に舌を追いたてる。
「ん、ふぅ…っあ」
「このまま恐怖など忘れさせてやるのだよ」
高尾の体から力が抜けたのを良いことに、緑間はするりと高尾の服の中に手を滑らせる。緩やかな愛撫を繰り返しながら、稲光や雷鳴に時折びくりと体を跳ねさせる高尾に、その度にまたキスをして、時間はかかれどゆっくりとその緊張を解いていった。
「あ、う……」
「怖がることなどない…大丈夫なのだよ」
唇が重なりそうな距離で、もう一度潤んだ目を見つめる。
「っあ、…ん」
その一方で脱がせた下半身では先ほどまで恐怖で縮み上がっていた高尾のモノが、緑間の温かい手によってゆるゆると立ち上がっていた。
「や、あっ、あ…ッふ」
包み込んだそれを扱きながら、高尾の顔色を窺う。
赤らんだ頬と快楽を追う表情を見て取るや、緑間は口角を上げて、その手を擦るように動かした。


脱力している高尾を抱き止めながら、緑間は窓の外に耳をすます。
遠く離れた場所で未だ轟いているらしい雷鳴が聞こえたが、高尾の体がこわばる様子はない。
「…高尾」
「………ん」
すり、と頬が緑間の腹の辺りを擦る。
緑間は安心したようなその仕草に思わず口元が緩むのを堪えられずにいた。


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めえこさんリクエスト「雷を怖がる高尾を落ち着かせようとする緑間」です。
…真ちゃんが案外すぐムラムラきちゃう子。
高尾はいつもは妹ちゃんいるからビビらないお兄ちゃんだけど、今日は真ちゃんと2人だから甘えてるんだ…というエピソードも入れたかったのですが、あとがきで失礼します。
この度はリクエストありがとうございました。

12.11.06 こよし

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