01
1月の末ともなると大分寒い。
ダッフルコートを着込み、しましまマフラーをまいて電車に揺られて1時間弱。
茨城から東京へ、常磐線でやって来た。
来てやった、のだ。ヤツに呼ばれて。
なのに、マンションのドアを開けた先は、シンとしていて誰もいない。
(呼んでおいてなんなんだ?!)
軽く舌打ちをしてしまう。
テーブルの上の紙を見て更に、苛立った。
『ケーキバイキングに後輩と行ってきます!』
…阿呆か。
それともイジメか?
確かに最近行きたいと騒いではいたけど、今日行かなくてもよくないか?
とりあえず暇を持て余し、近くのコンビニへ立ち寄ると、その帰りにヤツの友達に出くわした。
「あいつなら今ケーキバイキング行ってるから家に行ってもいないよ」なんて周知の事実を聞かされる。
「知ってる、家行ったら紙に書いてた」とぶっきらぼうに返すと、
「な、後輩の女の子と2人で行ってんだもんな…そういうのいいんだね、お前ら」なんて、耳を疑う爆弾発言をされてしまった。
鬱々とした気分で、トボトボとマンションに戻ると、苛立ちよりも寂しさが勝って泣きたくなる。
それが悔しくて、ベッドに潜り込んだ。
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