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私も彼も1人で、たまには2人で、泣いてみたりもする。

そんなふうに、ゆっくりと、お互いに自分をさらけ出すこと。

誰かと泣けること。
痛みを持ち寄ること。

いろんなことを、誰かと共有しようとすること。

当たり前かもしれないけど、私たちには傷つくこと、傷つけることを恐れる故に、なかなか出来ていなかった。

どこかに、『恥ずかしい』って気持ちもあって。

彼は、『泣きわめくことは簡単だけど、何がそんなに自分を泣かせているのかすらわからなかった』って話をしてくれた。

一緒に泣いて、ゆっくりと本当に目を向けるべきところにたどり着いて、それでやっと、苦しいワケを探せるんだと。

簡単なことかもしれないけど、スムーズにできない人達だっているんです。

私たちにとっては、『逃げてる』なんて、一言で片付いたりしないこともあったりもして。

私たちにとっては、大きな壁だったり。

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テーマ「人外ファンタジー」
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