図書室


※ちょっとエロ表現あるのでご注意を
※MEMOに載せていた話を膨らませたものです。これ。



来神学園の図書室は広い。
様々な蔵書が並び、本独特の香りが空間に充満していた。
そんな図書室の一番奥の棚の前に、二人の生徒が本も読まずに陣取っている。


一人は漆黒の髪に赤みがかった瞳をしていて、酷く綺麗な顔をしていた。眉目秀麗と言う言葉がぴったりなその男は、先程から忙しなく携帯を弄っている。
もう一人は背が高くて細く、モデルのような体格をしていた。顔付きも精悍で所謂イケメンの部類に入るだろう。こちらの方は窓枠に肘をついて、先程からつまらなそうに外を見ている。

静雄はチラリと横目で携帯を弄る臨也を見ると、踵を返した。
「どこ行くの」
「帰る」
「なんで」
臨也が携帯から顔を上げた。
「手前、携帯ばっか弄ってんじゃねえか」
「なに、シズちゃん携帯に嫉妬?」
不機嫌な静雄に対して、臨也はご機嫌だ。
「違う。とにかく帰る」
静雄はもう聞く耳を持たないと言った風に扉へと歩きだす。
臨也はそんな静雄の細い手首を掴んでこちらを振り向かせると、そのまま本が詰まった棚に背中を押し付けた。
棚と臨也に挟まれて、静雄は目を見開く。
「おい…」
「ごめんね」
臨也は口許を歪めさせたまま、携帯をポケットにしまい込む。「ちょっと急ぎの用事だったからさ」
「いいから離せよ」
至近距離の臨也の顔に、静雄は赤くなって目を逸らした。
図書室では静かに。
そんな常識が静雄を縛っていて、振りほどけない。
臨也は低く笑い声を漏らし、静雄の頬を嘗める。
びくっと静雄の体が震えた。
「こんな所でやめろよ」
「人なら少ないよ」
図書室は臨也と静雄が顔を合わせた瞬間から、急速に利用者が減って行き、今では後から知らずに入って来た数人しかいない。
「窓も開いてるだろ」
「ああ」
臨也は片手で静雄の腰を引き寄せ、空いている手でカーテンを閉めた。
「これならいい?」
口端を吊り上げて笑う。
「ここは図書室だぞ」
「関係ないよ。まあ暴れられると困るけど」
臨也は静雄のシャツの中に手を入れた。
冷たい手の感触に、静雄は体が跳ねる。
「臨也…っ」
「静かにして」
臨也は静雄の首筋に舌を這わせながら、手をゆっくりと下ろしていく。
やがてその手がベルトに掛かると、静雄は抵抗した。
「臨也!」
「シズちゃんが静かにしてたらばれないって」
「無理だって」
静雄は顔を真っ赤にして臨也を睨む。「静かに出来る自信ねえし…」
この言葉に臨也は目を丸くした。
「どういうこと?」
「声出ちまうか…ら…」
静雄は目線を下げて吐き捨てるように言う。顔は恥ずかしさのあまり真っ赤で、目は潤んでいる。
「シズちゃんは可愛いねえ」
臨也はさも楽しそうに笑って。「でもそんな事言われたら尚更したくなるんだけど」
するりとジッパーを下ろし、中に手を入り込ませる。
その途端に静雄の体が震え、両手は臨也の肩に回された。
まだ柔らかいそれを、臨也はゆっくり摩っていく。
「臨也…」
「さすがに本番は無理だろうから、シズちゃんだけ抜いてあげる」
臨也は傍らにしゃがみ込むと、静雄のそれに舌を這わせた。
熱い舌が外側の皮を這う。先端の窪みを舌先でペロペロ嘗めて。
「いざ…や…っ、や」
静雄は臨也の頭に手を回そうとして、ぎゅっと自分の腕を掴んだ。
外側は手で動かし、先端は唇で愛撫する。
やがて勃起し始めたそれが、先端から透明な液が出て来るのを臨也は舌先で刺激した。
「…っ、」
静雄は唇を噛んで。
見下ろせば綺麗な顔の男が自分のそれを嘗めている姿が目に入り、くらりと眩暈がした。
ジュポジュポと口腔を出し入れする唾液の音。口を動かしながらも右手はせわしなく動き、左手は柔らかな袋を愛撫する。
臨也の口からはポタポタと唾液が顎を伝って落ちた。
「あ…、臨也…」
「もう出る?」
臨也は口に含んだまま笑う。それさえも刺激になり、静雄は目を閉じて快感をやり過ごそうとする。
「ん…、あっ」
舌先で裏筋を嘗められてイッてしまった。
ドピュドピュと断続的に何度か射精され、臨也はそれをごくん、と飲み干す。
「まっずい…」
言葉とは違い、笑って唇を嘗める。赤い唇が扇情的だった。「早かったね。図書室だから?」
「…死ねよ」
静雄は舌打ちをして悪態をつく。耳まで赤い顔で。
「そんな顔で言われてもさ」
臨也は静雄の頭を引き寄せながら唇を重ねた。
快感でうっとりしていた静雄の唇は、直ぐに相手の侵入を許してしまう。
舌が入り込んで蹂躙するのに、自身の味がして気持ちが悪かった。
勿論臨也はわざとやっているわけで、本当に始末が悪い。
静雄は息苦しくなり酸素を求めて顔を逸らそうとするが、直ぐに臨也が追って来る。歯列を嘗めて、口腔内をどんどん犯す。
静雄は臨也の下唇に噛み付いた。
「…っ、」
痛みに臨也が唇を離せば、やっと解放された静雄が息を整える。
「…しつこいんだよ。うっぜえ」
「心外だなぁ」
臨也の方はちっとも息が乱れておらず、肩を竦めた。
「もう帰る」
静雄は乱れた衣服を整え、その場から離れようとする。
「シズちゃん」
名前を呼ばれて振り返れば、赤い双眸が射るようにこちらを見ていた。
「愛してるよ」
「……死ね」
「あはは、ひどっ」

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