1月7日(月)責任

 目の前の男の顔を見て、静雄は考える。
 赤く薄いその形の良い唇で、どんな毒を吐くだろう。第一声は何か。罵倒、嘲笑、驚愕。そのどれも想像が付く。
 怒るのだろうか。否、この男はそんなタイプでは無い。では不快に思うか。それはそうだろう。同性に懸想を抱かれていると知ったなら、大抵の者は不快に思うに違いない。不快に思い、その後に馬鹿にする。それが一番正解に思えた。
 だから静雄は、それを口にしない。
 目を堅く閉じて、臨也を見ないようにする。あまり見つめていると、それをうっかりと口にしそうになる。
 その目を見ないように、その声を聞かないように、声を出さぬように。

 静雄はそうして今日も、想いを心の奥底に封印する。



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