変な話A


「…臨也。」
「何してるの?、お金がない筈のシズちゃんが買い物だなんて珍しいねえ。」
 臨也はそう言いながら、静雄の肩越しに製品を覗き込む。
「…炊飯器?」
「うるせえ、手前には関係ねえだろうか!さっさと失せろ!」
 静雄はしっしっと、まるで蟲を追い払うように手を振るが、臨也がそれで逃げるわけもない。
「そういえばシズちゃんって自炊してるもんねえ、新しいのを買うの?」
 特に凝ったものを作るというわけではないが、静雄はそれなりに料理は出来る。玉子焼きも出来るし、味噌汁だって作れる筈だ。以前、何度か口にしたことがあるが、意外に不味くない。
「だから、手前には関係ないって、」
「俺もこないだ炊飯器買ったんだよ。十万ぐらいするやつ。」
 尚も静雄が追い払おうとするのを、臨也は遮って言葉を続ける。こうなると臨也は引かないし、静雄のイライラのゲージは上がるばかりだ。
「IHの土鍋でさあ、5合炊けるんだったかな。」
「…手前、一人暮らしだろうが。」
 そんなに量いらねえだろ、とブツブツ言いながら、静雄は別の炊飯器を見に行く。もう臨也に構うのはやめたらしい。


[ 27/34 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -