変な話@
それなりに混んでいるとある電気店。そこの家電コーナーに、金髪のバーテン服の男がいた。
男は青みがった薄いサングラス越しに、目の前の家電を睨みつけるように検分する。メーカー名と機能と外観と──一番の問題はやはり値段か。
本来なら客に家電品の説明をしなければならぬ店員も、男が発する異様な雰囲気に近寄ることも出来ずにいた。ただでもこの街ではバーテン服の金髪男には要注意、と噂が流れている。客で無ければこの店から追い出したいくらいだろう。尤も、そんな勇気も度胸もない者が殆どだが。
「シーズちゃん。」
そんな緊迫した空気の店内に響く明るい声。
突如現れた、夏なのに全身真っ黒なその男は、金髪の男の肩に気軽にぽん、と手を掛けた。まるで友人に対するような軽い接し方だ。
それに対し、金髪の男はピクッと肩が跳ねらせる。振り返ったその顔は、はっきりと怒気が顕れていた。
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