2月14日(木)A
「ほら、早く布団から出て。」
寝癖を解かすように頭を撫でてやれば、静雄の目つきは更にとろんとなる。まだ寝かせてやりたいとは思うものの、臨也は掛け布団を引き剥がした。
せっかくの休日なのだ。一人で過ごすのもつまらない。出掛けるとまでは言わないが、どうせなら静雄と一緒に居たかった。
「もう少しだけ…。」
静雄はそう言って、臨也の手から布団を奪い返そうとする。それを手首を掴むことで制し、臨也はそのまま静雄の体に覆い被さった。
「な、」
寝ぼけ眼だった静雄の瞳が大きく見開かれる。殆ど吐息が触れ合いそうな至近距離で、眉目秀麗な顔が静雄を見詰めていた。
「…また、痩せた?」
「…へ?」
「シズちゃん、また少し細くなってる気がする。」
臨也の手がするりと脇腹を撫でてゆく。その手の動きが擽ったくて、静雄は僅かに身を捩った。
「もう少し太った方がいい。」
「はあ?」
「このままじゃ抱き心地悪い。」
「な、何言ってんだ、バカ!」
そう言って手を振り解こうとする静雄の顔は、はっきりと赤くなっている。
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