1月5日(土)夕陽

 薄く瞼を開けば、真っ赤な世界だった。
 赤い壁に赤い天井。赤い床には自分の影。それが夕陽の光だと気付くのに、数秒かかる。
 ほんの少し開いた窓。風で揺れる白いカーテン。規則正しく整列された机。学校の中の、自分の教室だ──静雄はゆっくりと顔を上げた。

「何か、夢でも見てた?」

 いつの間に居たのか、いつから居たのか。前の机に腰掛けて、天敵が静雄を見下ろしていた。窓から入り込む風に髪を揺らし、面白そうな顔をして。
「何だか、魘されていたみたいだった。」
「…なら起こせよ。」
「冗談でしょう?」
 臨也はくつくつと嫌な笑い声を漏らす。床から浮いた足をぶらぶらと揺らし、いつもより高い位置から静雄を見て嗤う。
 静雄はそれに舌打ちをするが、それ以上何も言わなかった。二人の間に僅かに沈黙が落ちた。

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