2月3日(日)@
ドアを開けて中を覗き込めば、まだ部屋の中は薄暗い。がっちりと閉まった遮光カーテンの隙間から、朝陽が少し漏れている。
「シズちゃん?」
もう朝──いや、昼なんだけど。
臨也は部屋の中に入ると、わざと乱暴にカーテンを開けた。まだ布団の中に潜っている男が、もぞもぞと動いた気配がする。
「そろそろ起きなよ。休みだからってだらけ過ぎだよ。」
そう言う自分もほんの少し前に起きたばかりなのだが、それは言わないでおく。
臨也は再び動かなくなったベッドに近付くと、布団越しに静雄の体を軽く叩いた。
「シーズちゃーん?」
ぽんぽん、と優しく何度も叩きながら声を掛ければ、布団の中から唸り声がする。まだ夢の世界にいるのだろう。
──寝ぼけて暴れたりして。
静雄の寝起きの悪さを知っている身としては、その可能性も否めない。
暴れ始めたらさっさと退散しよう、と臨也が思っていると、のろのろと緩慢な動きで静雄が布団から顔を出した。
「…いま、何時だ?」
「もうすぐ十一時かな。おはよう。」
「……おはよう。」
そう言って眠そうな欠伸をひとつ。金髪には寝癖が付き、目もまだ半開きで如何にも眠そうだ。
覚醒したものの体は起こす気はないらしく、静雄はまだ布団の中で丸くなっている。
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