1月22日(火)雪のはなしA

「何しに来た。」
「雨宿りならぬ、雪宿り、かな。」
 地を這うような静雄の声にも、臨也は気にする様子もない。二人が口を開くたび、真っ白な吐息が舞い上がる。
「暇を潰すなら、新羅のとこにでも行けよ。」
「えー?、シズちゃんちの方が近かったんだよ。」
 電車も遅れてるみたいだしさあ、と、臨也は芝居がかった態度で肩を竦めた。新宿までは電車で僅か7分ほどの距離のくせに、少しぐらいの遅延も待てないらしい。
「だからって、てめえを家に入れる義理は──、」
 尚も文句を吐く静雄の手から、臨也は素早く鍵を奪い取った。驚きで動きが止まる静雄を横目に、さっさと鍵を差し込んで扉を開けてしまう。
「って、おい!」
「取り敢えず寒いから、中に入ろうよ。シズちゃんも風邪を引く。」
 そう言って臨也は、家主を差し置いて部屋の中へと入ってゆく。濡れた靴を脱ぎ、靴下も脱いで、まるで自分の家のように勝手にエアコンのスイッチまで入れた。

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