白澤の妹さんが地獄に来て1週間程が過ぎた。白澤の妹さんは私より頭1つ半程低く、視界からたまに消えるが基本的には私の周りを動き回っていた。
補佐官の補佐になってしまっているが、それでも白澤の妹さんは一生懸命に働いている。

クールなタイプかと思えば、うっかりミスをして表情を変える。甘いものを食べていると嬉しそうだし、見ていて面白いと思う。


「白澤の妹さん、少し出かけましょうか」
「はい」


口数は少なく、事務的に話す方だと思う。嫌われている訳ではないのだろうが、いまいち距離感が掴めずにいた。


「金丹を貰いに行きます」
「桃源郷ですか?」


作業していた手を止め、白澤の妹さんは私の顔を見る。いつもより、顔が少しだけ明るくなった様な気がした。
私は机の書類を片付け、出掛ける準備をした。それに習い、白澤の妹さんも片付けていた資料の山を崩れないように手早に直した。


「白澤さんに会えるのは嬉しいですか?」

「いえ、そういう訳ではないです」


そう答えた白澤の妹さんは少なからず声は高くなり、嬉しいというのが滲み出ていた。
頬が微かに赤みを帯びたような気さえする。


「では、行きましょうか」


そんな白澤の妹さんを見ない様に少しだけ足早に部屋を出た。白澤の妹さんは小走りで私に着いてくる。




微笑みは何処へ

少し悔しいのは何故でしょうか?
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