「本日付けで、閻魔大王様付き第二補佐官に任命されました白澤の妹です。よろしくお願い致します」
彼女――白澤の妹は眈々とそう告げるとゆっくりと頭を下げた。
「と、言う訳で宜しくね、鬼灯君」
白澤の妹の倍はあるであろう閻魔大王は、白澤の妹の肩に手をかけ鬼灯に向けて笑いかけた。
「白澤君から手紙?」
「えぇ、燃やしましょうか?」
地獄の平和な日常に、いつもと違うものが1つ現れた。
それは白澤から閻魔大王への手紙。鬼灯は嫌そうな顔をしながら、閻魔大王の元にそれを届けにきた。
「いや、ちゃんと読むよー」
大切な事が書いてあった場合燃やされては困ると、閻魔大王は手早に鬼灯から手紙を受け取った。
閻魔大王は受け取った封筒を開封し、中身を確認する。
「…で、内容は?」
鬼灯は閻魔大王の前で無表情に中身を聞いた。閻魔大王はゆっくりと手紙に目を通し、ぱたりと机に置いた。
「人員が余ったから使わないかだってーどうしよっか?」
「…あいつの頼みを聞いてやるほど暇ではありませ…」
「じゃあ、了承するね」
閻魔大王は鬼灯の言葉を遮るように、手紙と一緒に入っていた書類に判を捺す。
鬼灯は少しだけ表情を歪めた。わざわざ白澤からの手紙、何か裏があるに違いない。とりあえず閻魔大王を殴ることにして、新人は広い地獄だ、どこにでも配属できると諦めた。
そして数日後、新人が配属されてきた。第二補佐官という役職で。
「白澤の妹さんでしたよね…」
「はい、そうです」
白澤の妹は何か問題でも?と首をかしげた。
「………」
鬼灯は無言の圧力で閻魔大王を睨み付けた。
それに気付き、小さい白澤の妹の背中に隠れる。隠れ切れはしないのだが。
「とりあえず暫く宜しくね、鬼灯君」
「よろしくお願いします」
鬼灯は深々と息を吐き、少し頭痛のする頭をかいた。
嫌いなアイツの嫌な願い
これから宜しくお願いします
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