夜も更けた時間、閻魔殿の門を静かに開き、こそこそとする人影が一人。



「何処へ行っていたのですか?鬼灯の妹?」
「兄上様…ただいまです…」


中に入ると、鬼灯が仁王立ちで出迎える。手にはしっかりと金棒まで持っていた。鬼灯の妹はぴしっと立ち、鬼灯の顔をおずおずと見上げた。


「何処へ?」
「……桃源郷まで…」
「白澤さんに会いましたか?」
「……はい…」


怒っているのが分かっている鬼灯には嘘がつけず、鬼灯の妹は正直に答えた。

鬼灯は携帯を取り出すと目当てのアドレスを呼び出しコールする。

約5コール目に電話は繋がった。

「出るのが遅い」
『何だよ!こんな時間に!』
「白々しい…鬼灯の妹に何もしてないでしょうね?」
『……僕と鬼灯の妹ちゃん、恋人同士になったから』
「今すぐ別れます」


バキッという音を立てて鬼灯の手の中にあった携帯がひしゃげる。


「鬼灯の妹?やつの妄言は真実ですか?」


白澤が何を言ったのか鬼灯の妹は直ぐに理解できた。鬼灯の妹は青くなりながら答える。


「じ、事実…です」


鬼灯の眉間にシワがより、怖くて見ていられなくなり鬼灯の妹は目線を反らす。


「そう、ですか…」


ぽん、と鬼灯の妹の頭の上に手を優しく置く鬼灯。その行動に一番ビックリしたのは鬼灯の妹だった。


「怒らないのですか?」
「お互いが慕い合っているのなら、怒れませんよ」

まぁ、白澤さんは後でミンチにしますけど…と小声で鬼灯が呟いたのを鬼灯の妹は聞き逃さなかった。


「さぁ、早く部屋に戻りなさい。夜更かしは美容の敵です」
「兄上様は?」
「私は白澤さんの為の毒薬を作ります。楽しみです」
「程々にしてあげてください」





邪魔してみせます。

最大のライバルは兄。
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