逸る気持ちを抑えながら、白澤はいつも通り、平然と歩く。
それにいち早く気づいたのは鬼灯の妹。


「は…くたくさま…」
「あれ?こんな所でどうしたの?鬼灯の妹ちゃん」


鬼灯の妹の横では牛頭と馬頭が小さな声で鬼灯の妹に「言っちゃいなさいよ」「がんばって」と囁いている。


「あの、白澤様…」
「ここじゃ話しにくいから、天国までおいでよ」


白澤は鬼灯の妹の手をとり、天国の門まで歩き出した。牛頭と馬頭は残念がる様に、二人を見送った。




天国の観光名所でもある桃源郷、桃の甘い香りが漂い、デートにも人気のスポットとなっている。


「で、話があるんじゃない?」


白澤に手を引かれている間、ただ無言でついてきた鬼灯の妹。桃源郷についてからも無言のままだった。


「白澤様、お慕いしてる方とかいるんですか?」
「…うん、いるよ」


白澤は何時もの笑みを崩さずさらりと返す。
その言葉を聞いて鬼灯の妹の手に力が入るのが分かった。


「それは…」
「それはね、僕を見ると殴りかかってくるし、暴言は吐くし、でも、そこが可愛いと思う、僕の大嫌いな鬼神の妹だよ」


白澤がへらっと笑うと鬼灯の妹は顔を赤くして、目には涙を溜めた。今すぐにでもこぼれ落ちそうになっている。



「私…白澤様が…好き…みたいで……白澤様に口説かれる前に…追い返さないともっと好きになっちゃうから……」


ポロポロと涙をこぼしながら、鬼灯の妹は白澤に想いを伝えた。白澤は優しく鬼灯の妹を抱き締めて、涙が流れる頬に軽い口づけをする。


「じゃあ、両想いだ。泣くことなんてないよ」


頭を軽く撫でながら、白澤は笑う。その笑顔を見て、鬼灯の妹の涙も止まった。





曇りのち雨のち晴れ。

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