地獄、現世、天国を結ぶ門の前に鬼灯の妹は立っていた。
「牛頭さん!馬頭さん!」
門番の名前を呼び、辺りを見回す。少し遠くから、牛頭と馬頭が仲良く二人でやってくる。
「あらぁ〜!鬼灯の妹様じゃないのぉ〜」
「どおしたのぉ〜?」
二人は鬼灯の妹を囲み、親しげに話しかけてくれた。
「聞いて欲しい事があるの」
鬼灯の妹は意を決した様に話し始めた。
そのころ、閻魔殿。
白澤は無事に閻魔大王の元にたどり着き、仕事の依頼を受けていた。
「白澤さん、いらしてたんですか」
そこへ鬼灯がやってきて、嫌なものを見るような視線を白澤へ投げた。
「お前には用はないけどな」
「用が済んだならさっさと帰ってください」
閻魔大王は自分に火の粉が飛ばない様に、大人しく二人のやり取りを見ている。白澤はやれやれと、帰る支度をし、部屋を出ようとした。
「そういえば、鬼灯の妹に会いましたか?」
「は?何で?」
鬼灯自ら鬼灯の妹の話題を白澤に振ることが珍しく、白澤は間抜けな返事をしてしまった。
「先ほど会ったのですが、様子がおかしくて…」
「それが僕とどんな関係が―――」
「貴方に会うといつもそうなんです」
白澤は途中で言葉を失ってしまった。鬼灯は全く理解できないという顔で、鬼灯の妹の事を考えているのだろう。
「…女心は難しいね」
白澤はそう言い残すと、部屋から出ていく。残された鬼灯は更に首を傾げた。
部屋から出た白澤は上機嫌に、にやつきながら帰路へつく。
途中、鬼灯の育てる金魚草畑が目に入る。何時もは気持ち悪いだけだが、今日は何だか綺麗に見えた。
女心は秋晴れ
期待してもいいよね?
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