私は休みの度に不喜処へ通う日々を続けていた。と、言っても休み自体が少ないからまだ3回目ぐらいだ。
「シロさん、私、大丈夫になったかも」
「随分、近くで話してくれる様になったもんね!」
シロさんに協力してもらい、シロさんには触れられる様になった。話をするのも、今は隣に座ってできる。
「ありがとうございました…これで鬼灯様に…」
「私に、何ですか?」
二人で座っていたベンチの裏から声が聞こえた。それは間違いなく鬼灯様の声で、私は恐る恐る振り向いた。
「鬼灯様…?い、いつからそこに?」
「なまえさんがシロさんと、仲良く待ち合わせをしている頃から近くにはいましたよ?いつからそんなに仲良くなったのですか?」
鬼灯様はぬけぬけとそんな事を言った。殆ど最初からじゃないか。
「なまえさんがね、俺と仲良くなって鬼灯さ」
「シロさん駄目ー!」
私は慌ててシロさんの口をふさぐ。何て事を暴露する気なんだ、この犬。
そんな私を見て、鬼灯様はクスりと綺麗な顔で笑って私の頭にポンと手を置いた。
「頑張りましたね、なまえさん」
私は何だか恥ずかしくなって、顔をそらしてしまった。
「頑張り屋ななまえさんが、私は大好きですよ」
鬼灯様の口から私の妄想が聞こえた。私は思わず鬼灯様へ視線を戻し、口をぱくぱくさせてしまった。言いたい言葉は一切出てこず、顔に熱が一気に集中していく。
鬼灯様は優しく頭を撫でてくれた。
多分、私は地獄一の幸福者だ。
ご褒美は甘く
そのままの貴女が好きですよ
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