鬼灯は集合地獄から真っ直ぐ閻魔殿へ戻り、なまえを自室のベッドの上へと転がした。
なまえはぐったりとしており、意識を取り戻す気配はない。
酔い覚ましの薬と、水を用意し、ベッドの横のテーブルに置き、鬼灯はなまえの眠る隣に腰をかけた。
「まったく…世話の焼ける人です…」
なまえの顔にかかった髪の毛を鬼灯は優しく払いのける。アルコールが入って熱が上がってるのか、頬は上気し赤く染まっている。
「可愛い」
鬼灯がなまえの頬を撫でると、なまえは身じろぎをして薄く目を開いた。
「気が付きましたか?」
「……頭が痛いです」
「自業自得です」
ざらついた声色でなまえは返事をすると、眉間に皺を寄せる。
「…鬼灯様が人前であんな…こと、するから…」
なまえは先ほどの事を思い出したのか、顔を更に赤くさせ、近くにあった布団を引き寄せ顔を隠した。
「先に絡んできたのはなまえさんの方ですよ」
「…はい」
なまえは目だけを布団から出し、鬼灯の顔を確認する。鬼灯は苦笑い気味にため息を付くと、少し優しい表情をし、なまえの頭を撫でた。
「でも抜け出す口実ができて良かったです」
「へ?」
鬼灯の発言を予想していなかったなまえは、間抜けた声を出してしまう。
鬼灯はなまえの被っていた布団をぐいっとはぎ取ると、額に唇を落とす。
「なまえさんの酔っている姿が可愛くて、理性が持ちそうにありませんでした」
「何を…」
「だから、今度はお酒無しでキスしましょう」
なまえの目を真っ直ぐに見つめ、鬼灯はつぶやく。うっとりとした様な鬼灯の瞳になまえの顔が映り、そして、その瞳は細く歪む。
「ね、なまえ…」
低く、甘い囁きになまえは目を閉じる。
それに続くように唇が重ねられ、再度、鬼灯となまえの頬は熱を持ち始めた。
酔いの宴
本当の宴はこれから
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