「鬼灯様って睫毛長いですよね」
鬼灯が書類にサインをしていると、その書類を持ってきたなまえが声をかけた。
「いきなり何ですか?」
「いや、キレーだなと思って。女の子みたい」
なまえの言葉に鬼灯の眉が一瞬ぴくりと動く。
「なまえさんは男みたいですけどね」
「失礼です」
「先に言ったのはなまえさんですよ」
「……すみません」
鬼灯を怒らせる前になまえは素直に謝った。そんな会話をしている間に、鬼灯は書類のサインが終わり判子を一つ捺す。そしてなまえに差し出した。
「今日の仕事はこれで終わりです」
「ありがとうございます…って鬼灯様…まだ3時ですよ?」
なまえが腕にしていた時計を確認すると、まだ日は十分高い午後3時。鬼灯に定時というのは存在しないだろうが、仕事を終わらすには少し早すぎる時間だ。
「なまえさんも終わりですよ」
「は?」
「私に付き合えと言っているんですよ」
鬼灯は机の上を整理しながら、然も当然の様に話を進める。
「私は書類を届けに…」
「そんなの他の獄卒にやらせなさい」
鬼灯はそう言うと、部屋の外をきょろきょろと見渡し、近くに居た獄卒を呼ぶ。そしてなまえの手から書類を奪うとその獄卒に渡してしまった。
「さ、行きますよ」
鬼灯はなまえの手を取ると、鬼灯の自室の方へと向かった。
「何処行くんですか?!」
「なまえさんが、私を女らしいと言ったので…男だって解らせに」
鬼灯は滅多に見せない様な顔で笑うと、なまえの手を引きながらズリズリと進んで行く。
なまえの背中には嫌な汗が流れ、寒気がした。
「いやいや、あれは冗談ですから!」
「冗談にしても、心の何処かで思っているから声に出るんです。そんな事考えられないぐらい解らせないと…」
鬼灯は部屋の扉を開け、中になまえを投げ入れる。鬼灯も中に入り、後ろ手で扉を閉めた。
「ちゃんと解りますよね?」
なまえをそっと抱き寄せ、いつもより低い声で囁く。その声になまえは身震いをし、目を伏せた。
発言注意報。
でも女装したら可愛いと思います。くやしいけど。
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あれ、頭わいてる…