「白澤様ってどうしてあんなに女の子が好きなんだろ…」


はぁ、と深いため息をついて桃太郎へ愚痴をこぼしているなまえ。
現在、白澤は不在。地獄へ行ったと桃太郎が言っていたから大方、花街にでも行っているのだろう。


「アレは病気ですから」
「だよねー」


さらりと毒を吐く桃太郎に、けらけらと笑いながらなまえは同意する。


「でもさ、私の前で女の子を口説くのは何なの?嫌がらせ?」
「…あ、あははは」


なまえは前に白澤へ告白した事があったが、断られた経緯がある。それを桃太郎も知っていたので、桃太郎の口からは乾いた笑いしか出てこなかった。


「まだ好きなんですか?」
「ん?まだ好きだよ?おっかしーよねー」


なまえは笑っているが、瞳が何処か悲しげに光る。
桃太郎は何も答えられず苦笑いをするしかなかった。


「何で好きなんかなぁ…」
「きっかけとか無いんですか?」


んーっとなまえは唸り、考え始める。そして、思い出すように語りだした。


「多分、憧れから始まったんだと思うよー…格好良くて、笑顔で、博識で…」
「へえー」
「…白澤様?!」


いつの間にかなまえの後ろには、にやにやといつもの笑みを絶やさず白澤が立っていた。


「そんな風に思ってくれてるなんて、嬉しいな」


心にも無いような事をぺろりと言う…となまえは白澤を軽く睨んだ。


「そーゆーなら、付き合って下さいよ」
「んー…ごめんね?遊びになら何時でも行くよ」
「本当に最低ですね」


心底嫌そうな顔でなまえは答える。白澤はそんななまえの頭に手を置いて、なまえの顔を除きこんだ。


「そんな顔しないでよ、可愛い顔が台無しだ」


そう言って、なまえの唇に軽くキスを落とす。桃太郎はそれを見て顔を真っ赤にし、なまえは一瞬、思考停止。
おや?っと白澤はそれを見て首を傾げたが、次の瞬間頬に痛みが走る。なまえが白澤の頬を叩いたのだ。


「〜〜っっ!」


なまえは瞳に涙を溜め、その涙が零れない様に、ぐっと堪えていた。


「なまえちゃん?ごめんね?」


ひるふると震えるなまえの肩に手を置いて白澤は謝る。
なまえの瞳からはついに涙が零れ落ちた。


「白澤様なんか…」


ボロボロて涙を流しながらなまえは口を開いた。


「だいっ…す…き…」


なまえの口からは拒絶の言葉は出ず、白澤は困惑したが、そんななまえを見て白澤も声を上げる。


「あぁ、もう!」


白澤はなまえをぎっと抱きしめ、頭をぽんぽんと叩いた。


「なまえちゃんと付き合えないのは、きっとなまえちゃんを泣かせちゃうからなんだよ…」

「?」

「…僕は、ほら…皆に声をかけちゃうし、さ…」


白澤の言葉尻が小さくなる。なまえは静かに白澤の言葉に耳を傾けた。


「だから…ごめんね」


慰めているのか、何なのか白澤自信も分からなくなってきてしまい、しどろもどろになる。


「…だったら…白澤様が夢中になる女性になれば良いんですね?」


なまえはゆっくりと口を開き、涙で濡れた瞳で白澤の顔を見上げた。


「難しいよ?」
「大丈夫です。きっと白澤様の一番になりますよ」


なまえは少し照れた様にふにゃりと力なく笑った。




最低だけど最愛なの

私だけしか見えなくなる








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桃太郎はフリーズした!
最低な男、白澤様。書いてて楽しかったけど、いつもの倍になってしまった…
そして何時もの落ちが行方不明で強請終了!

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