現世へ遊びに行ってきた帰りに、ケーキ屋さんに寄ってきた。現世ではかなり人気のある店で、なかなか買えなかったのだが今回は運良く買えた。


「鬼灯様、甘いもの好きかなぁ」


そんな事を考えながら閻魔殿へ向かう。心なしか足取りも軽くなる。




コンコン

鬼灯様の部屋のドアをノックする。しかし、中から反応が帰ってこない。


「外出中かな?」


少しがっかりして、手元のケーキ箱を見た。わざわざ探してまで渡すのは迷惑だな、と思い閻魔様に渡して帰ろうと鬼灯様の部屋から方向転換したら、目の前が真っ暗になった。


「私の部屋の前で何をしているんですか?」
「鬼灯様!」


ぽふっと鬼灯様の胸のなかに入ってしまったようで、顔を上げれば鬼灯様の綺麗な顔が目の前にあった。
鬼灯様にぎゅっと抱き締められている形になる。


「ケーキを買ってきました!ご一緒にお茶しませんか?」


鬼灯様は少し下を覗き、私が手に持っている箱を確認する。


「この前テレビでやっていた…」
「…!鬼灯様も甘いものに興味あるんですね!」
「……えぇ、まぁ…」


鬼灯様は少し恥ずかしそうに目線を反らす。
可愛いな、なんて思いながら、抱き締められている自分の状況に私が恥ずかしくなってきた。


「せっかくなので外で食べましょ! 今日は良い天気でした!」
「そうですね」


私は鬼灯様の手を取り、外へと歩き出した。自然に手を取ってしまったが、恥ずかしくて顔が見れない。きっと顔が真っ赤になっている。




「なまえさん、本当は…」


もう少しで外に出る頃、鬼灯様が話しかけてきた。私は歩くのをやめ、ぴたりと止まる。


「本当はなまえさんに買ってあげる予定だったんですよ、そのケーキ。だからテレビもチェックしてました」


鬼灯様はゆっくり、多分笑いながら、話してくれた。


「先を越されてしまいましたね」


今度は鬼灯様が私の手を引いて歩きだした。外からは温かい光と、そしてちょっと冷たい風が、私の赤くなった頬を撫でていった。





何でもない日おめでとう

今度は一緒に行きましょう







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書いてる本人がギリギリする!(吐血)名前変換少なくてすみません…orz

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