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休憩の時間に目に入るのは、極卒達に囲まれ楽しそうに談笑する彼女の姿。
もちろん、女の極卒も数名いるが、その周りには男の極卒達がついて回る。
私は遠目から彼女、なまえのことを観察していた。女性の中でも際だって「可愛い」と思うなまえに男達は声をかける。どんな相手にもにこりと笑顔を見せて挨拶をするなまえは、自分の可愛さになんんて気づきはしない。
「なまえさん、時間ですよ」
休憩時間が終わるのは少し後。早めになまえの名前を呼び、私は手招きをした。なまえは私に気づき、周りにいた鬼達に会釈をし、こちらに近づいてきた。
「午後の予定は不喜処でしたよね?」
「えぇ、早めに出ますよ」
私達は視察へ行く準備の為に、一旦自室に戻ることにした。戻る途中でも、声を掛けられる。もちろん、私への用事もあるがなまえへの用事も多かった。
何故だか、もやもやとした気持ちが渦巻いている。そんな気持ちを振り払う様に、私となまえは不喜処へと向かった。
「あ!鬼灯様、なまえさん」
「シロさんこんにちは」
不喜処へ付くと、一目散にシロさんが駆け寄ってきた。白いもふもふの尻尾を揺らしながら、なまえの足下に飛びつく。なまえは腰を屈め、シロさんの頭を撫でた。
「シロさんお仕事は?」
「丁度休憩!」
「そうですか、では私と遊びましょう!」
「ボール!ボール投げて!」
「なまえさんは仕事中です」
シロさんと盛り上がるなまえに釘を刺すと、なまえはしょんぼりと眉を垂らした。そんな顔をされても仕事は仕事だ。
「…書類の確認だけしたら、遊んでも良いですよ」
「本当ですか…!鬼灯様大好き!」
私も甘くなったものだ。なまえはパッと顔を明るくして、シロさんと一緒に不喜処の事務室へと足を向けた。
私はその間に極卒達からの要望や現状を聞くことにする。
一通り不喜処での用事が済み、シロさんと遊んでいるであろうなまえを探した。なまえは休憩所のベンチに座り、膝の上にシロさんを乗せていた。その隣にはいつの間にか閻魔大王の姿も見える。
いつ見てもなまえの周りには自然と人が集まるらしい。笑顔で誰にでも優しく微笑みかけるなまえはとても綺麗だった。
そんな姿を見るとまたしても、もやもやとした気持ちが沸き出す。
「あ、鬼灯様。お疲れ様です」
なまえが私の姿に気づき、手を振る。シロさんは耳をピンと立てて尻尾を振る。閻魔大王はビクリと肩を振るわせた所を見ると、大方休憩といって抜け出して来たのだろう。
「さて、なまえさん、帰りますよ。閻魔大王もサボってないで働く」
声をかけると、閻魔大王は私の手が出る前に立ち上がり「それじゃ!」と言って閻魔殿へと戻って行った。シロさんもなまえの膝から降り「また遊んでね」と仕事場へ戻る。
なまえはその二人の姿を笑顔で手を振り見送った。
「お疲れ様です」
そして私に向き直り、先ほどと変わらず笑顔で笑いかける。
「なまえさんは誰にでも笑い過ぎです」
「へ?」
突然の私の言葉をなまえが理解できる筈もなく、疑問符を浮かべなまえは首を傾げた。
私は何とも言えない、胸の内を吐き出すように言葉を続けた。
「少し、もやもやします。なまえさんが笑っているととても綺麗なのに、私は余り見たくありません」
「…それは、どういう事でしょう?」
嫉妬や独占欲、その感情であることは理解していた。その醜いとも取れる感情を、他人に伝えるというのはとても難しい。
私はもどかしくなって、なまえの腕を取り、自分の胸へと引き寄せた。
「だから」
なまえは抵抗する訳でもなく、力が加わった方向へと流れる。そして私の胸へと収まった。
「あまり笑顔を見せては駄目ですよ?」
なまえにも分かる様に、なるべくストレートに。私は想いを伝えた。
「私だけに笑って下さい」
なまえの耳元で、出来るだけ優しい声で、私は囁いた。なまえは私の着物をきゅっと掴む。そして小さく肩が揺れた。
「鬼灯様ったら…ふ…ふふふ」
「何がおかしいんです?」
なまえは笑った。クスクス笑いを堪える様にしているが、口からは笑い声が漏れている。
「いえ、鬼灯様がそんな事考えてるなんて思ってなくて…」
いつもの綺麗な笑顔で、いや、それよりもずっと綺麗な優しい顔でなまえは笑う。嬉しそう、というのがぴったりだろう。
「善処しますね」
心のもやもやは消えていて、替わりに胸の中の暖かさがとても愛おしく思えた。
独占欲と
そんなに心配しなくても…
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【桜架様リクエスト】
ヒロインは超かわいいのに自覚ない鈍感な子。閻魔様とかシロちゃんあたりと絡んでばかりで鬼灯さんが嫉妬
ってリクエストの筈が…どうしてこうなった…すみません。できあがってから「鈍感な子」部分に気づきましてごにょごにょ…
あと超かわいい設定が生かし切れてない…!
gdgdですみませんです。いつかリベンジしたいと思いまs…orz