私にはどうしても分からない事がある。ずっと気になっていたんだけれど…
「鬼灯様は何でそんなに背が高いんですか?」
先ほどから獄卒達に指示を出している鬼灯様の背中に声をかける。他の獄卒達と比べても、鬼灯様の背はとても高い。
「……?なまえさん、変なこと言ってないで仕事をして下さい」
鬼灯様はチラッとこっちを見て、呆れたように言葉を返す。
「私なんて全然伸びないのに…」
鬼灯様との身長差は約30p、現代なら未だしも鬼灯様はずっと昔の人だ。今は鬼だが、それにしても成長し過ぎではないのか。
「どうやったらそんなに大きくなれるんですか?」
「良く食べ、良く働き、良く寝る。当たり前の事をするだけですよ」
当然、と言う顔で鬼灯様は答えたがその内容はもう実践している。どちらかと言えば鬼灯様の方が出来ていない。
「……それはそれは。すくすくと育ちましたね」
「お陰様で」
私の嫌みを含んだ言葉にしらっと鬼灯様は答えた。鬼灯様は獄卒達に指示を出し終え、執務室に戻り始める。それを追いかけて私も移動する。
「他に変わった事は?」
「そうですね…」
先ほどの答えでは納得がいかず、鬼灯様の後を追いかけながら更に質問した。
鬼灯は足を止めることなく少しだけ考え込む。
「見下されるのが嫌で」
「本当に鬼に育ちましたね」
「ああ、それに…」
鬼灯様は足を止め、くるりと私に向き直る。そして私の肩に手を乗せた。
「キスしやすいです」
私の唇を軽く啄むように鬼灯様はキスをする。私は顔に熱が集まるのが分かった。
「な、な……ッ!」
動揺する私を無視して鬼灯様は更に私を抱き締めた。
「抱きやすいし、利点が多いですね」
ぎゅっと抱き締められ、私はフリーズする。鬼灯様が大きいので、私は鬼灯様の腕の中にすっぽりと収められていた。
「なまえさんは今のサイズが丁度良いです」
「嫌ですよ、伸ばしてみせます」
はっと我に返り鬼灯様に悪態をつく。こうやってからかわれるのには慣れていたが、子供扱いされている気分になる。
「小さくて可愛いのに」
「鬼灯様と並ぶには、あと15pは必要です!」
今の状態では鬼灯様と並んでも兄妹にしか見えないし、一部では鬼灯様ロリコン疑惑も浮上中なのだ。
「そんな事を気にしてるんですか?」
「……気にしてますよ」
釣り合う様になりたいと、切に願う。鬼灯様はただでさえ人気物。顔は格好いいし、閻魔様の第一補佐官ともなればファンは沢山いるのだ。ライバルは数知れず。
「まったく…可愛いですね、なまえさんは」
「笑わないでください!」
くすりと鬼灯様は笑った。その顔がいつもよりも綺麗な顔で、私の心臓が跳ねる。ドキドキと脈を打ち、体温が上がる。
鬼灯様は私の頭に手を置いて、自分との差を比べて一言呟いた。
「では、抜かされない様に私も伸ばしましょうか」
背比べ
鬼灯様はそのままで…!
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久しぶりに携帯で書いたら文章ガタガタでした。