夕日が沈み始め、夜の闇が迫る。来客の足も減り、そろそろ店を閉めようと言う時間に極楽満月に一人の訪問者が現れる。
「…白澤様…薬…」
「うわ!なまえちゃん、どうしたの?!」
がたっと音を立てて開いた扉の先には、ぜぇぜぇと息を切らすなまえの姿があった。それを見た白澤は慌ててなまえへと駆け寄る。
「あっつ…」
額に手を添えれば、いつもより高い熱が伝わってくる。白澤は慌ててなまえを抱きかかえた。
「…?!」
「いいから!」
それはお姫様抱っこという体勢で、白澤のいきなりの行動になまえは目を見開く。
そして白澤の自室へと向かい、ベッドへとなまえを下ろす。なまえに布団を被せ、ベッドに押し込んだ。
「薬取ってくるから大人しくしてて!」
白澤はバタバタと部屋を出て、店へと戻っていく。残されたなまえはダルさからそのまま布団の中で大人しくしていることにした。
「わざわざ天国まで来なくても、鬼灯の所に薬あったでしょう?それとも、僕に会いに来てくれたのかな?」
白澤に薬をもらい、なまえが少し落ち着いてきた頃。白澤は冗談混じりになまえへと問いかける。ニヤニヤとした笑みを張り付けながら。
「鬼灯様はお仕事が修羅場ですよ。私もやっと抜けてきました」
季節柄という訳では無いが、今日も今日とて地獄は亡者で溢れ返っている。鬼灯は徹夜続きで、なまえもここ数日の睡眠時間が短かった。
「疲労が原因か…あんまり無理しちゃ駄目だよ?」
「重々承知しています。が、やらなければならない立場なので」
「兎に角、ゆっくり横になってね」
なまえが寝ていられない立場なのは分かるが体の心配も必要だと、白澤はなまえの頭へ手を伸ばし、するりと撫でた。それを邪険にする訳でもなく、なまえは大人しく撫でられている。
「いえ、白澤様が寝れないので帰りますよ」
「僕の事は気にしないで」
なまえの頭を撫でながら、白澤はベッドの縁へと腰掛ける。
「しかし…」
「なまえちゃんの隣で寝るし」
「帰ります」
起きあがろうとするなまえを白澤は覆い被さる形で押さえ込んだ。その行動になまえは顔を歪めた。
「いいじゃない、帰ったって寝ないでしょ?」
「……否定はできません」
「少しゆっくり休むこと」
白澤は起き上がり、再度なまえの頭をぽんぽんと軽く叩いた。
そして、人懐こい笑みを浮かべ頭をこてんと傾ける。
「ね?」
白澤に念押しされて、なまえは大人しく布団の中に戻り、頭から布団を被った。
そして、小さな声で答える。
「今日だけです」
その答えに白澤は満足げに笑った。
少しの休息
白澤様は床で寝て下さい。
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風邪引いたので看病してくださいよ…白澤様…
久しぶりな書き方をしたら良く分からなくなった。