「この恋が嘘なら良かった」


私は部屋の窓から空を見上げながらぽつりとつぶやく。今日も空は変わらず青を一面に広げて居る。


「えー?何、僕、フられるの?」


部屋の中には私と白澤しか居らず、テーブルを挟んで向かい側に座る白澤は冗談めいた笑いを浮かべながら笑いかけてくる。


「いや、違うけど。そう、かなぁ」
「何でそんなに曖昧なの」


自分の言葉の真意が自分でも良く分からず、曖昧な返事しか白澤に返すことができなかった。


「お互い好きなのに、好きじゃないっていうかー…どうして恋なんてしちゃったかなぁ」


私はぐでっとテーブルに手を伸ばす。置いてあったカップを手で弄べば、中身がこぼれそうになったので慌てて手の中へ納める。


「僕が好きだからでしょ」
「白澤、自分で言うの?」
「え?好きでしょ、僕のこと」
「好きですけどねー」


改めてそんな事を言われたら照れるじゃないか。私は誤魔化すようにテーブルから起き上がり、手に持ったカップに口を付ける。ふんわりと甘い香りと味が口の中に広がる。


「じゃぁ、素直に言えばいいのに」
「本当、嘘だったら良かった」


にやにやと笑いながら白澤が嬉しそうな顔をする。その白澤の顔を見たら、やっぱり嘘だったら良かったと思った。


「だから何で?僕はなまえに恋ができて、愛せて、嬉しいのに」
「それ、何人に言ってんの?まったくさー」


結局、白澤にとって私は大勢の一人じゃないのか。そんな疑問だけが出てくる。
誰よりも長く一緒に居るのは分かっているが、長く一緒に居るからこそ分からなくなる事だってあるのだ。


「ね、キスしよっか?」
「何だよ、万年発情期」
「いいじゃん、ほらぁ!」


白澤はテーブルの上に体を乗せ、ちゅっと軽い音を立てて私の唇を奪っていく。


「好き、でしょ?」
「…嫌いじゃないよ」


私の返答にあまり納得はいっていない様だが、白澤はまた嬉しそうに笑った。

そんな笑顔で笑われたら誰だって恋に落ちるじゃないか。






素直じゃないけど

好きですよ、大好きですよ
言わないですけどね。







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呼び捨て良いと思うのですが、どうなんですか?対等でありたいのです。
今回もちょっと、うん、甘くなかったね(笑)白澤様とはなかなかくっつかない!

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