「私は輪廻転生の輪から外れてしまったのでしょうか?」
「いきなりですね?」


大焦熱地獄の視察中に、火に焼かれる亡者を見ながら私はつぶやいた。


「だって、私は死んだのに服役してないですよ。っていう事はずっとここに居るってことですよね?」
「地獄の時間と現世の時間は違う。輪廻転生を果たすには、相当な時間がかかります。罪の重さにもよりますが」


此処に来て長い時間が経ったけれど、未だに地獄については良く分からない。現世ではそんな事を学ばなかったし、そんな事考えたことさえ無かった。


「それにしっかり服役しているでしょう?私の元で」
「鬼灯様に虐められているという事ですか?」


くすくすと笑いながら私は鬼灯様に笑顔を見せると、鬼灯様は少し困ったような顔をした。


「そんなに転生したいのですか?」
「いえ、逆ですよ」
「?」


私の答えに鬼灯様はこてりと頭を横に倒す。その仕草が可愛くて、私はまたくすくすと笑った。


「今の、地獄での生活が楽しくて…現世になんて戻りたくないんです。鬼灯様の隣にずっと居たいんです」


現世には沢山の物があって、もちろん楽しかった。でも、今の生活の方がとても刺激的で面白い。現世なんかより「生きてる」と思える世界だと思う。


「それは良い事です。私もなまえさんに居なくなられては困ります」
「仕事が?」


私は悪戯っぽく笑いながら鬼灯様に確認する。期待が少しだけ高まり、鼓動が速くなる。

仕事が大変だからですか?
それとも…


「いえ、私もなまえさんがいると楽しいですから」
「では、鬼灯様が寂しくならないようにずっと隣に居ます」
「なまえさんが寂しいだけでしょう?まぁ、仕方ないので面倒見ますよ」
「宜しくお願いします」


鬼灯様と私は、お互いにお互いの顔を見て笑い合った。この何気ない日常はあと何年、何百年、何千年続くのだろう?

ふと、私はある疑問に行き着く。死んで早々、私は裁判にはかけられなかった。いつの間にか獄卒として働き始めたが…


「ところで、私の罪って何なのでしょう?」
「あぁ、それはですね…」


鬼灯様はにやりと笑ってこう言った。


「私の心を奪った罪です」






今、この瞬間が大切なのです。

見えない未来を憂うより、
消えない過去を悔やむより。







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鬼灯様が好きです(再確認)

いつか別れる事になっても、それまでは貴方の側に居たいのです。

ってのが書きたかった。あとがきで表現するあたり文章力が乏しいって話。
もごもご…!

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