昨晩。
なまえが出勤表を見ると、鬼灯の所に休みの文字が書き入れられていた。なまえは小さくガッツポーズを取り、足軽に部屋へ戻った。
鬼上司のいない平和な1日。久しぶりにそんな日がやってくるはずだったのに…
「鬼灯様…今日はお休みですよね?」
「休みですよ」
終了時刻まで約3時間。
鬼灯はなまえの執務室の片隅に椅子を持ち込み、本を読みながら時折なまえの姿を見ていた。
なまえはいつも通り書類を確認、整理し、鬼灯の居ない分まで忙しく手を動かしている。
いつもなら鬼灯がいない日は、もっと気楽に仕事が出来るのに…と、考えながらなまえはじっとりとした目で鬼灯を見た。
「じゃあ、何で私の執務室に居るんですか…」
「なまえさんを見て楽しんでるからですよ」
「何が楽しいんですか!!」
ああ、頭痛い。
なまえは鬼灯に呆れながら頭を押さえた。そんな暇があるなら、仕事しろ。と心の中で毒づいておく。
「聞こえてますけど」
「はへっ?」
「なまえさんの観察は立派な仕事です」
「趣味でしょ、変態」
「失礼な」
鬼灯はむっとしながら手に持っていた本を閉じた。そしてなまえの顔をじっと見つめる。
「まったく、何が楽しいんですか」
「まず、そうですね…」
鬼灯はペラペラと良く喋るな、と感心するような口調でとんでもない内容を話始めた。
なまえの目には鬼灯の持っていた本の題名「調教の心得〜どんな相手でも跪かせる方法」が目に入った。
「…と、考えてムラムラしました」
「帰れ」
鬼灯は一通り喋り終わると、恍惚とした表情でなまえを見た。なまえは汚い物を見るような蔑んだ目で一言言い放った。
「酷いですね、いつもの事でしょう?」
「いつもそんな事考えてるんですか?!」
「まぁ、なまえさんといるときは大概…」
「最低だ!セクハラだ!」
なまえは身の危険を感じて、鬼灯とは逆方向に身を引いた。
「そろそろ仕事終わりですね。待ってますから、終わったら部屋に来てください」
「嫌です」
「拒否権はありませんよ」
鬼灯は世にも恐ろしい笑顔でなまえに言うと、椅子と本を持って執務室から出ていく。
「お邪魔しました」
なまえは残りの時間が永遠に続けば良いのに、と心から願った。
妄想は大概に
閻魔様!助けて!
鬼灯様に食われる!
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相変わらず頭がわいてる