閻魔殿には今日も今日とて亡者が溢れている。それに追われる様に、獄卒達も行ったり来たり…ひっきりなしに走り回っていた。
「鬼灯様居ませんか?!」
「鬼灯君ならでかけてるよ〜!それよりなまえちゃん、阿鼻の件見てあげて」
「は?嫌ですよ、鬼灯様探してるんだから」
「ちょ、ちょっと〜!」
なまえもその中の一人で、閻魔に鬼灯の居場所を聞いたら危うく仕事を回される所だった。今は他の事で手一杯なのだ。
「何、サボってるんですか」
鬼灯を見つけたのは不喜処近くの自動販売機。傍らにシロがいる所を見ると、サボりだと判断する。
「違いますよ、休憩です」
「鬼灯様にサボられると私の仕事が増えるので早く戻って下さい」
「だから休憩だと…」
「言い訳は聞きませんよ」
なまえは、はぁ〜と大きなため息をつく。鬼灯はベンチに座り、呑気にブドウジュースを口に含んだ。
なまえは鬼灯の隣に座り、そのブドウジュースを横からひょいと奪い取った。
「あ。…なまえさんもサボりですか?」
「私も、と言う事は自分もサボりと認めるんですね」
更に深いため息をつくも、鬼灯はそれを意図もしないように、ブドウジュースの缶を取り返そうと狙っている。
「返してください」
「嫌です」
「飲みたいなら買ってあげますよ?」
「…違います」
何一つとして的を射ない答えになまえは少しイライラする。
このまま会話を続けても不毛だと思ったなまえは、ブドウジュースを一気に飲み干した。
「あ…間接ちゅー…」
「は?!何、子供見たいな事言ってるんですか!」
なまえは飲み干した缶をゴミ箱に力一杯投げ入れる。ガコンッと音を立てて缶はゴミ箱に吸い込まれた。
「…顔、赤いですよ?」
「気のせいです!ほら、仕事に戻りますよ!!」
なまえは鬼灯の袖を掴み、歩きだす。
鬼灯はまだブドウ残ってたのに、とゴミ箱の中に溶け込んだ缶を見ながら、なまえに引っ張られるまま歩き出した。
子供っぽいところ
職場に戻れば鬼上司。
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ぎゃ、ぎゃっぷ萌?
鬼灯様と対等なヒロイン作りたい病。