一度はみんな思うんだ。
『死にたい』って。
些細な事から重大な事。理由は人それぞれで……




「ねぇ、死んだらどうなるんだろうね」


いつもと変わらぬ午後のゆったりとした時間に私は臨也に問いかけた。
臨也は眉を潜め問い返す。

「未来は死にたいの?死んだ後どうなるかなんて、死んでみなきゃ分からない。まぁ、俺はあの世とか信じてないし…死んだらそこで終わりだと思ってるよ」



流暢に臨也はぺらぺらと語り出す。
臨也は私の知らない事を沢山知っているから、死んだらどうなるかも知っているかと思ったら、検討違いだったようだ。


「未来は死後の世界とか信じてそうだよね」

「あってもいいと思う。死んでからだけど、先に死んだ人に会えるなんて素敵だと思うんだ」

「会いたい人なんているの?」


そこで私は口ごもる。




「もし、もし仮に…臨也より先に死んだら、臨也が来るまで待っていたい。」


顔に熱が集中してくるのが分かる。きっと顔、真っ赤なんだろうな。


「…かわいいこと言うね」

「た、たとえばの話ッ」



臨也はくつくつと笑った。私は更に恥ずかしくなり声を荒立ててしまった。

「心配しなくても、先に死なせたりしないし。死後の世界だけじゃなくて、今も、今からも、ずっと一緒にいるよ」


臨也は大袈裟な手振りをつけて断言した。
その言葉に私は――…




涙が溢れた。




「え、ちょっと?!未来…?」
「ご、ごめ…っ!あ、れ?止まんない」


臨也が珍しくうろたえている。私は涙を拭うが涙が止まらなかった。

多分、嬉しかったんだ。

臨也は私の頭に手を伸ばし、よしよしと撫でてきた。

「ずっと一緒にいよう、未来」


臨也らしくない笑顔に少しだけ笑いが込み上げてきた。


「うん」


いつの間にか涙は止まっていて、私は笑顔で臨也に返事をした。




いつまでも、

プロポーズまであと――…







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書いた時は落ち込んでたんだよ。うん。

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