※彼女はオタク



秋から冬に変わる頃、リビングのソファーでごろごろと未来が雑誌を読んでいた。いつもは騒がしいのに、とても大人しい。
臨也は未来に近づき、上からのぞき込むと「今時の女の子」の写真がズラリと並ぶ。つまりは女性ファッション誌だった。


「未来が漫画以外の雑誌を読んでるなんて珍しいね」
「私だって女の子ですから!」


未来は臨也を見上げてどや顔をする。それはもう、自慢げに。


「どれどれ」
「ちょ、ちょっと臨也!」


臨也は未来の手から雑誌を取り上げて、未来が寝ころんでいたソファーに座る。未来は自分のスペースが狭くなったので、起き上がり、臨也の隣に姿勢を正し座った。


「あー…こんなのが好みかなぁ」
「どれ?!」


臨也は数ページめくってから1人のモデルを指さした。未来のタイプとは正反対のちょっと派手な女の子。臨也の手から雑誌を奪い取り、未来は「うーん」と声を上げながらマジマジと雑誌に食い入るように見る。眉間に皺が寄り、難しい顔になっていく。


「ぷっ!あははは!未来の顔面白い!」
「わ、笑わないでよ!」


臨也は未来の様子を見て、笑いだした。それに対して未来は顔を真っ赤にしながら声を上げる。


「私だって、臨也の為に可愛くなろうとか思うんだからね!」
「うん、ごめんごめん。嬉しいよ、未来」
「う〜…」


臨也は未来の頭を優しく撫でる。未来は大人しく撫でられながら顔の熱を冷まそうと頬にペタペタと手を着ける。


「でもね、無理してお洒落とかしなくて良いんだよ?俺は今の未来で十分気に入ってるから」


にこっと臨也は笑う。未来は雑誌を閉じ、机の上に投げ出す。雑誌はパタっと音を立てて机に当たる。


「でも、臨也に飽きられない為に必死です」
「奇遇だね、俺もだ」
「は?!」
「俺も未来に飽きられたり、嫌われたりされたくないからさ」


未来は目を見開いて臨也を見る。臨也は相変わらず余裕そうな笑顔で笑う。


「臨也がそんなこと心配してるなんて、変なの。いつも自信満々なのに」
「俺を何だと思ってるの?」
「臨也さま…?」
「ふーん」


臨也はソファーから立ち上がり、自分のデスクに戻っていく。そして、デスクの上に置いてあるカレンダーを確認してつぶやいた。


「…今度一緒に、洋服でも買いに行こうか?」
「ん、漫画も買って」
「はいはい」


臨也は小さく苦笑いをこぼしてパソコンの電源を入れた。




お好みに変身!

流行ってなに?





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久しぶりに書いたら臨也さんが良く分からなくなりました(白目)
これ、みんな経験すると思うんだよね!彼氏ができたらやっぱり気になるよね、好みとかさ!

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