授業が全て終わり、教室から解放された生徒達がぞろぞろと校舎から出てくる。
部活へ向かう者、友達と談笑する者、帰宅する者……それぞれの日常へ溶けていく。


未来もその中の一人。
晴れた空は高く、ビルの間から綺麗な青を除かせていた。空気は冷たく、吐く息はうっすらと白い。


「さっむっ!」


寒さに身を縮ませ、首に巻いた白いマフラーに口元を埋める。


「首がなくなるよ」
「臨也か…」


未来の横を自然と一緒に歩いてくる臨也もいつもの事で、未来は特に気にもしなかった。


「マフラーはしてるのに手袋はしてないの?手が真っ赤だ」


そう言いながら臨也は未来の手をとり、軽く握る。


「臨也の手暖かいね。あ、心が冷たいからか」

「失礼だな未来は。コート着てるからポケットが暖かいんだよ」


未来は気にもしていなかった臨也に目を向けると、いつもの制服の上に黒いファー付きのコートを着ている。


「…真っ黒だね」
「そりゃどーも」


未来があははと笑うと、それにつられて臨也も笑う。


「しょうがないからポケット貸してあげる。特別にタダで」


臨也は未来の手を掴んだまま、自分のコートのポケットに手を入れた。


「お言葉に甘えるよ」


未来は嫌がることもせず、臨也のコートに手を入れたまま歩き出す。


「雪、降らないかなぁ」


はぁっと白い息を吐き出して、空を見上げると、雪なんて降るはずのない真っ青な空が赤みを帯びてきていた。





スノースマイル

「未来、顔赤いよ?」
「夕陽のせいです」








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書き始めたらオチが行方不明になりました。ポケットネタはバンプのスノースマイルから。何番煎じ(笑)

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