※【鬼灯ver】続き
「ぎゅって…して下さい」
私は、恥ずかしい気持ちを押さえ込み、声を発する。尻すぼみに小さくなる声と共に、顔に熱が集中し、私は俯き、目をぎゅっと瞑った。
鬼灯様の顔は見えないが、きっと眉間に皺が寄っているに違いない。いきなりこんなお願いされたら、誰しも怪訝そうな顔をするだろう。
「分かりました」
鬼灯様から発せられた声は意外なもので、私が顔を上げようとしたら視界が真っ黒に染まった。
その黒の向こうからは微かに暖かさと、一定の速度で聞こえる心音。
鬼灯様の腕の中に、私はいる。
「……!」
「これだけでいいんですか?」
私の頭はちょうど鬼灯様の胸の位置。頭上から聞こえる声は柔らかく、とても安心する声色だった。
鬼灯様の胸にぎゅっと顔を押しつければ、心音が少しだけ早くなったのが分かった。私の心音も、鬼灯様に聞こえるのではないかという程うるさく鳴り響いている。
「いいんです、今はこれで」
「今、は?」
私の言葉に鬼灯様は聞き返してくる。
「今は、です」
「それは…」
「どんな意味か」と鬼灯様が言葉を発する前に、私は鬼灯様の言葉を遮る様に話し出した。
「もう少しだけ、こうしててもらってもいいですか?私、もっと立派な獄卒になります。そうしたら、そうしたら…」
その先が言えずに私は鬼灯様の胸に顔を埋める。鬼灯様から顔が見えない様に。
もっとしっかりとした獄卒にならなければ、鬼灯様には不釣り合いだ。もっと偉くなって、認められたら、その時きっと―――
「ちゃんと、見てますよ。なまえさんが頑張る姿を。ちゃんと…待ってます」
私の言いたい事が分かったのか、鬼灯様は私を抱きしめる腕に力を込めてぎゅっと抱きしめてくれた。
「はい」
私は素直に返事をする事しかできなかった。そして、目を閉じれば一滴だけ涙がこぼれた。
貴方が好きで
本当に良かった。
なまえさんならすぐですよ、私がお約束します
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【匿名様リク】
ぎゅってさせたらちゅーさせたかったり、いろいろ思いました(笑)
リクエストありがとうございました!