「また来てね」


ニコリと笑顔で手を振る貴方。


「やぁ、いらっしゃい」


ニコリと笑顔で手を振る貴方。


「まったく、貴方は何人に声を掛けているんです?」
「そりゃ、店に来る女の子全員にさ」


悪びれもなく白澤は口にする。先ほどから女性が入れ替わり、立ち代り白澤の店を訪れる。もちろん薬を買いに来るのだが、その中には明らかに「薬がついで」という女性の姿も見られた。

そんな様子を鬼灯は店の奥の片隅で、白澤が入れた中国茶を口へ運びながら見ていた。ほのかに甘い茶の味が口の中に広がり、少し苦味を残して消える。
自分の心の中の様だと、心の中で呟いた。




もう、何人目であろうか。
女の子にニコリと笑いかけ、手を振り送り出す。
そんなやり取りを見飽きて、鬼灯はため息をつく。


「何?お茶なくなった?」
「いいえ」
「僕も喉渇いたな」


白澤は鬼灯の持っていた茶碗に口を付けて、口を潤す。
その腕をパシリと鬼灯は掴んだ。


「何?」


白澤は眉間に皺を寄せ、鬼灯が掴んだ腕を見る。


「なん…でも…」


鬼灯はその顔を見ると、掴んでいた腕を放し、席を立つ。


「帰ります、お邪魔しました」


それ以上、白澤の顔など見ずに鬼灯は出口の扉へと向かった。
そして、ドアに手をかけると、鬼灯の背中に白澤が言葉を投げつけてきた。


「何が言いたいのかな」
「何も言うことなんてありませんよ」


鬼灯はその言葉に足を止め、少しだけ振り返る。
白澤は口元を歪ませニヤニヤと笑う。



「私の前で女の子と話すな、かな?放っておくな、かな?私は何なのか、かな?……それとも、抱いて欲しいのかな?」



鬼灯は白澤の言葉に怒りを覚え、掴んでいたドアに亀裂が走る。
バキっと凄い音が店内に響き、少しの静寂をもたらす。


「早く、貴方が、死ぬことを願ってますよ」


その言葉だけを吐き捨てて、鬼灯は地獄へと戻って行った。





屑野郎と意地っ張り









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TwitterのRTお題
「7時間以内に5RTされたら屑白澤さんと素直になれない鬼灯様で白鬼をかきます。」
でした!できてるかな!(笑)

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